第2章 卵は1日何個食べてもOK
コレステロールが上がるはウソ
健康に気を使う人であれば、コレステロールについても気にすることは多いでしょう。
「卵は1日1個まで」といった昔の慣例を信じる人も多いのが現状です。
動脈硬化を進行させるなど、健康に影響を及ぼす「悪玉コレステロール(LDL)」と、その値が高いほど長寿になると言われる「善玉コレステロール(HDL)」があることなどはご承知のことと思います。
しかし、そもそもコレステロールについて誤解している人が多いのも事実です。
中でも「糖質制限をすると、肉や脂質の食事量が増え、コレステロール値が高くなる」という俗説がありますが、これはまったくのウソです。
2012年に権威ある医学誌の「The England Journal of Medicine」に掲載された研究によれば、カロリー制限ダイエットと比べ、糖質制限ダイエットをした場合は、悪玉コレステロールの値が、善玉コレステロールに対して相対的に低くなるという結果が出ています。
むしろ改善するのです。
そしてもうひとつ、コレステロールの8~9割は、体内の肝臓で作られるもので、食べ物から摂取するのはわずかに過ぎません。
また、食べ物で入ってきたコレステロールの量によって肝臓が作る量のバランスを取るため、基本的には卵をたくさん食べたからといってコレステロール値が上がるという影響はありません。
コレステロールを正しく知ろう
◆悪玉コレステロール(LDL)
◆善玉コレステロール(HDL)
・血液中のコレステロールが増えるのを防ぐ
・高い人ほど長寿
コレステロールのおおよそは肝臓で作られ、
食事で摂り過ぎた分は肝臓が作る量を調整する
↓
食べても影響なし!
卵は栄養的に優れた食べ物
タンパク質
鉄
ビタミンA
ビタミンB2
ビタミンD
ビタミンB12
リン
カルシウム
脂質
「糖質の話 より」
※参考まで
Mサイズ卵1個に235mgのコレステロールが含まれていますが、健康な人が1日2~3個食べてもコレステロール値が上がることはありません。
これは卵黄に含まれるリン脂質の一種である卵黄レシチンがコレステロールの量を調整して善玉コレステロールを増やす働きがあるためです。
そのほか、卵に含まれる脂肪酸は実験でも証明されていますが、コレステロールを下げる効果のあるオレイン酸が豊富です。
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血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。
LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。
でも、LDLには2種類あることをごぞんじですか?
それは、酸化したLDLと酸化していないLDLです。
LDLの中でも血管に悪さをしていたのは、実は酸化LDLだったのです。
ということは、血管を酸化から守るシステムがしっかりできていれば、酸化LDLは血管に付着しづらくなる。
それが血管老化を防ぎ、血管強化につながるということです。
この、血管の酸化を抑えてくれるのが、実はビタミンなのです。
ビタミンの中でも特に大事なビタミンが、ビタミンCとビタミンEです。
ビタミンCとビタミンEの抗酸化力は、非常に強力です。
心筋梗塞を起こした患者さんのグループが正常のグループよりも血中のビタミンC、ビタミンEの濃度が低かったとする報告もあります。
この2つのビタミンに、ビタミンAを加えた3つのビタミンは、いずれも抗酸化力が強く、ビタミンACE(エース)と呼ばれています。
そしてもうひとつ忘れてはいけない大事なビタミンがあります。
それはビタミンBです。
ビタミンBにはいくつかの種類があり、ビタミンBグループとして存在しています。
ビタミンBの抗酸化力は強くありませんが、細胞のエネルギー産生やエネルギー代謝を効率よくするためにはなくてはならないビタミンです。
体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
また、ビタミンBは8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?