第2章 いくつになっても老人脳にならない人は一体何をしているのか

第2章 いくつになっても老人脳にならない人は一体何をしているのか

「欲のある人」のほうが長生きしやすい

 

歳をとると欲が減少する人が多くなります。

「最近食べたいと思うものがなくなってきた」「異性への興味が薄れてきた」そんな実感はないでしょうか。

 

でも、あらゆる欲が減っていくわけではありません。

実は、「減りやすい欲」と「減りにくい欲」があります

 

結論から言うと、食欲、性欲などの「生理的欲求」はすべて減っていきます。

 

なぜなら、ドーパミンというやる気を生み出す脳内ホルモンは、加齢とともに直線的に減っていくからです。

ドーパミンが減ると、食欲も、性欲も低下します。

 

ただ、欲があったほうが長生きするという傾向があります。

オーストラリア・モナッシュ大学と台湾国立防衛医科学センターの研究では、食欲のある高齢者のほうが長生きの傾向があるそうです。

別の研究でも、食が細い高齢者は食欲旺盛な人たちに比べて死亡リスクが2倍以上高まることがわかっています。

 

 

長生きのためにもドーパミンを増やしていきたいところですが、欲の源になるドーパミンはどうやって増やせばいいのでしょうか。

実は簡単な方法で増やせます。

具体的には、こんな方法があります。

 

  • 笑顔
  • 好きな音楽を聴く
  • 体を動かす
  • 好きな人の写真を見る
  • 予想外の嬉しいことが起きることに参加(例・スポーツをする、スポーツ観戦など)
  • 複数のものから選ぶ

 

こういう習慣がある人は、やる気が衰えず脳がいつまでも若い可能性があります。

 

 

減る欲がある一方で、減りにくい欲もあります。

「幸せに対する欲」はそれです。

若いときも高齢になってからも、同じように「幸せに対する欲」はあります。

 

この「幸せに対する欲」と密接に関係しているのがオキシトシンです。

最近はよくメディアで取り上げられているので、知っている人も多いかと思います。

 

オキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも言われていて、人や動物などと「つながった瞬間」に出るホルモンです。

犬や猫を飼っている人や子どもと触れ合う機会が多い人は、オキシトシンが出て、幸福感を感じやすいと言われています。

 

2022年の最新研究では、18歳から99歳の人を調べたところ、加齢とともにオキシトシンの量は減るどころかむしろ増えることがわかっています。

 

ドーパミンは減っていくけれど、オキシトシンは増えていく。

そこからわかるのは、人はいくつになっても幸せを求めているということ、その幸せはつながりを通して得られるということです。

 

若いときは生理的な欲求が強いのですが、歳とともにバランスが変わり「つながり」など社会的欲求の占める割合が高くなっていきます。

この社会的欲求は、社会貢献などにもつながっていきます。

ボランティアなど「人のために何かをする」ことで自分の幸福度が上がるのは、脳の変化なのです。

 

 

生理的な欲が減り、人とつながること、人に貢献することを求めるようになる

これがいわゆる「人の成熟」と言えるのではないでしょうか。

お金よりも人の役に立ちたい、感謝されたいという気持ちが年齢とともに高まるのは、人として成熟している証です。

有名なマズローの五段階欲求説がありますが、一番下に生理的欲求があり、それが満たされていくと社会的欲求が満たされ、最終的に自己実現の欲求が出てくる

このことが最新の脳科学で証明されたわけです。

これに反して生きる人は、幸福度が上がらず、老人脳も進行しやすくなると思われます。

 

マズローの五段階欲求説

 

自己実現の欲求

 

承認の欲求

  

社会的欲求

 

安全の欲求

  

生理的欲求

「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」

 

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最近、電車の中でキレる人を見かけます。

少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。

でも、最近は違ってきています。

しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。

受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。

この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。

これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。

 

セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。

これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。

平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。

セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。

そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。

 

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。

そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。

脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/