第1章 50代以降でも伸びる能力とは
50代以降も伸びる能力があるのです。
それは「語彙力」です。
語彙力のピークは、なんと67歳。
昔は長老と呼ばれる人がいましたが、長老が周りの人から尊敬される存在だったのは、歳をとっても言葉の力は老いることがないからだと思います。
こうした言葉の力など、年齢とともに蓄積されていくものを「結晶性知能」と呼びます。
その中でも語彙力は断トツで伸びていく能力です。
さらに面白いのが「相手の気持ちを読む力」です。
この能力は10代以下の人が低いんです。
そして20代になって急激に伸びていき、ピークは48歳です。
それ以降はグンと落ちていきます。
50代、60代とどんどん下がっていきます。
この感覚、50代以降の人には実感できるかもしれません。
10代は自我の確立をするために、意識の中心には自分がいる。
それが社会人になり、「相手」という存在を意識せざる得ないシーンが増えるのが20代の頃です。
その後いろいろな経験を積み、人の気持ちを考えるようになっていく。
まさに結晶型知能が高まっていきます。
ところが50代くらいからは、だんだんと周りのことを気にしなくなる人がいます。
別に悪気があってそうなるのではなく、脳の能力が落ちていくことで自然とそうなっていくのです。
こうした傾向は、着るものにも影響します。
若いときは近所のコンビニに行くのにもちゃんとした外着で行っていたのが、50代、60代になると着替えるのもだんだん面倒になり、家着のままで外出したり、さらに進むと寝間着のままで行ってしまったり。
どんどん人目が気にならなくなっていくのです。
「相手の気持ちを読む力」がさらに衰えていくと、いわゆる失礼な老人、キレる老人になっていくこともあります。
家族に横柄な態度を摂ったり、お店で店員さんに乱暴な言葉を使ったり、自分の思い通りにならないことにキレたり……。
48歳を超えたら「相手の気持ちを考えること」に意識を向けていくと覚えておいてください。
ただ、「人の気持ちを読む力」の調査でもうひとつわかったことがあります。
それは、人によって振れ幅が大きいということです。
たとえば40代でピークになる人もいれば、そのピークが70代、80代まで持続する人もいます。
この差は何か?
ピークを長く保てる人は、老人脳にならないために、脳の老化をゆるやかにしたり(スローエイジング)、積極的に若返らせる工夫(ダウンエイジング)をしているのです。
何もしないと自然に脳は老化しますが、上手く工夫すると、効果が出てきます。
脳を元気にすることは、人生を充実させるための大切な行為です。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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最近、電車の中でキレる人を見かけます。
少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。
でも、最近は違ってきています。
しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。
受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。
この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。
これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。
セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。
これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。
平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。
セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。
そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?