第4章 タオルをギュッと握る

第4章 タオルをギュッと握る

 

ノーベル賞を受賞した画期的な理論

 

「NOという物質が血管の健康にかかわっている」と解説をしてきました。

ここでNOについて、もう少し詳しくお話ししましょう。

 

NOは一酸化窒素のことで、エヌ・オーと読みます。

アメリカの薬理学者、ルイス・J・イグナロ博士が発見した成分で、博士はその成分に血管拡張作用があることを突き止めました。

 

研究のきっかけとなったのは、爆弾の原料である「ニトグログリセリン」でした。

ニトログリセリンは19世紀から狭心症の薬として利用されてきましたが、その仕組みは不明のままでした。

 

博士はこの点について研究を進め、ニトログリセリンに含まれる窒素成分が血管壁の平滑筋を弛緩させることを発見しました。

そして、体内で産生されるNOが同じ働きをすることを解明したのです。

 

この業績によって、1998年に博士はノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 

今では、血管壁でNOが多く産生されれば血圧が下がり、動脈硬化のリスクが大幅に低下することも証明されています。

 

 

オルグリップでNOを出す

 

では、どんなときにNOが産出されるのでしょうか。

 

筋肉に強い収縮が起こると、瞬間的に大量の血液を必要とします。

その血液を供給するためには、血管が拡張する必要があります。

それを可能にしているのがNOです。

 

さらに、その収縮が繰り返し起こると、より多くのNOが産出されることがわかりました。

 

「強い力→緩める→強い力→緩める」

 

という運動がいいのです。

 

それを利用したのが、「タオルグリップ」という運動です。

 

大きめのタオルを丸め、それをギュッと握ります。

そして、パッと離します。

これを何度か繰り返せばOKです。

 

オフィスの机の上に丸めたタオルを置いておいて、時々ギュッ、パッ、ギュッ、パッを繰り返すといいでしょう。

 

 

NOを増やす「タオルグリップ」のやり方

 

≪用意するもの≫

フェイスタオル1枚

 

1.フェイスタオルの縦(長い方)を四つ折りにする。

2.四つ折りにしたタオルを巻いて筒状にする。

3.タオルを持ったとき、親指と他の指がつかない太さか確認(つくようだったら、もう1枚足す)。

4.筒状のタオルを2分間、軽く握る(3割くらいの力で)。

5.握っている手の力をゆるめ、1分間休む。

 

4.~5.を2回繰り返して1セット。

左右の手で1セットずつ行なう。

「血管が強くなる習慣 より」

 

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「老化」と聞いたとき、どんな変化を思い浮かべますか?

顔のシミやシワ、老眼、体力の衰え……。

それらももちろん老化の1つですが、根本的な老化とは「血管が衰えること」です。

わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。

動脈硬化とは、血管が「硬くなること」「狭くなること」「血栓で詰まりやすくなること」。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

近年、動脈硬化の原因として新しく注目されているものに、ホモシステインというものがあります。

虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。

そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。

このホモシステインが動脈の壁に沈着すると、酸化される過程で血栓を引き起こし、血管を傷害して動脈硬化を引き起こすのです。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

 

ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。

また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/