第1章 かまぼこと同じくらいの硬さのものを噛む

第1章 かまぼこと同じくらいの硬さのものを噛む

 

食べることで認知症を予防するというと、カレーの香辛料「ターメリック」がいいとか、青魚に含まれる「エイコサペンタエン酸」(EPA)がいいといった栄養素の話になりがちです。

 

しかし、こうした特定の栄養素で認知症を防ぐというアプローチには、あまり賛成できません

 

仮に、認知症によいとされる栄養素を含む食品が見つかったとしても、それを継続的にとってこそ効果を発揮できるというもの。

ときどき思い出したように食べるだけでは、期待したような成果は得られないでしょう。

 

そもそも、いくら認知症によいとしても、同じ食品をずっと食べ続けることが果たしてできるでしょうか?

どんな好物だって、毎日食べるのはイヤですよね。

たまに食べるから、「ああ美味しい」と思うものです。

 

 

ましてや、たいして美味しいと思わない食べ物が、認知症によいとわかったとしても、それをずっと食べ続けることができでしょうか?

少なくとも、私にはできません。

 

それに、もし本当に認知症に効く栄養素があるとしたら、それは治療薬として早々に認可されて、病院でも処方されるようになっているはずです。

治療薬になってないなということはその程度の効き目しかないという証ともいえるでしょう。

 

食べることは、人生最大の楽しみともいえます。

それなのに、治療薬のように効くわけでもない食べ物をイヤイヤ食べ続ける必要はあるでしょうか。

それよりも好きなものをよく噛んで食べる習慣を身につけたほうが、よほど効果的です。

 

※ポイント 噛み応えのある食べ物を選んで脳のために「そしゃく力」を高めましょう

噛み応えのある食品を食べていると、あごの筋肉は鍛えられます。

噛む力は、体重に比例するといわれています

体重50kgなら50kg、60kgなら60kgの力で噛んでいるということです。

これだけ大きな力が加わるのですから、噛むほどにあごの筋肉が鍛えられて、そしゃく力は高まるでしょう。

そのぶん、そしゃくできる回数を増やせるので、脳の血流アップも期待できます。

噛む力がアップすると、食べられる食品の量と種類も広がり、高齢者のエネルギー不足や栄養不足を予防する効果も期待できます。

噛む力が落ちて必要なエネルギーや栄養がとれなくなったために、全身の機能が低下して社会活動に支障が出る「オーラルフレイル」(口の衰え)という言葉も登場しています(オーラルは「口腔」、フレイルは「虚弱」という意味です)。

オーラルフレイルを防ぐためにも、噛み応えのある食べ物で、積極的にそしゃく力を高めるようにしましょう。

 

 

では、脳の血流促進に効果がありそうな噛み応えのある食品とは、いったいどんなものなのか?

 

そしゃく回数が1日4000回近かった弥生人は、栗やクルミなどのナッツ類、玄米、山菜などを栄養源にしていたようです。

よく噛まないと消化できなかったので、必要に迫られて、そしゃくしていたのでしょう。

 

噛み応えがあるといっても歯が丈夫でない高齢者には、ナッツ類のような硬い食べものは手強そうですし、無理して硬いものを噛もうとすると、歯が欠けてしまう恐れもあります。

 

さらに、硬いものを無理して噛んでいると、血圧が上昇する恐れもあります。

 

 

これに関しては面白い研究があります。

かまぼこを噛むと、脳に血液を送る「総頚動脈」の血流量が増えたというのです(出典:「かまぼこ咀嚼時の血圧、心拍出量日脳血液量の変化」[國學院大學栃木短期大學石山郁郎教授]。

 

かまぼこくらいの硬さなら、好物にもたくさん見つかりそうですし、高齢者でも抵抗なくそしゃくできるはずです(嚥下機能が低下していて、誤嚥の恐れがある場合には、介護者などが注意する必要があります)。

 

※ポイント かまぼこ以上の歯応えのある食べ物を選んで脳の血流を増やしましょう

「一生ボケない習慣 より」

 

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「老化」と聞いたとき、どんな変化を思い浮かべますか?

顔のシミやシワ、老眼、体力の衰え……。

それらももちろん老化の1つですが、根本的な老化とは「血管が衰えること」です。

わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。

動脈硬化とは、血管が「硬くなること」「狭くなること」「血栓で詰まりやすくなること」。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

近年、動脈硬化の原因として新しく注目されているものに、ホモシステインというものがあります。

虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。

そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。

このホモシステインが動脈の壁に沈着すると、酸化される過程で血栓を引き起こし、血管を傷害して動脈硬化を引き起こすのです。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

 

ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。

また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/