第3章 難聴で認知症のリスクが高まる

第3章 難聴で認知症のリスクが高まる

 

加齢などによる難聴(聴力低下)があるなら、早めに対策を施したほうがいいです。

 

老眼になって近くのものが見えにくくなったら、老眼鏡をかけるのをためらわないのに、耳が遠くなっても、見た目を気にして補聴器を使うのをためらう人は少なくないです。

近年は目立ちにくい補聴器もありますから、必要なら使用することをおすすめします。

 

なぜなら、耳が遠くなると会話のやりとりがしにくくなり、脳に加わる刺激が低下するからです。

 

相手の声が聞こえにくくて何度も聞き返すのは、本人にとってもイヤなことですし、話すほうも耳が遠い人に大きな声で何度も話すのはおっくうに感じることもあるでしょう。

 

会話がうまくできなくなると、人との接触を避けるようになり、社会的な活動へ参加する意欲が低下するという悪影響も考えられます。

 

 

こうしたことが積み重なると、認知症リスクを高めることにつながるのです。

 

海外の報告では、45~65歳の中年期に難聴があると、65歳以上の高齢期に認知症のなるリスクが1.9倍になるそうですLivingston G,et al.Lancet.2017)。

 

加齢以外に特別な理由がない、老化にともなう難聴を「加齢性難聴」といいます。

 

加齢性難聴は、耳の奥にある「内耳」と呼ばれる部分で、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える「有毛細胞」がなんらかのダメージを受けた結果、その数が減ったり、有毛細胞に生えていて音の振動を感じる「聴毛」(感覚毛)が抜け落ちたりすることで生じます。

 

この他、音の信号を伝える神経や、音を認識する脳に問題があることもあります。

 

加齢にともなう難聴は40代から始まり、高音域から徐々に聞きとりにくくなることが多いです。

それ以降も、ほぼすべての音域で聴力レベルは、右肩下がりになります。

 

日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会によると、日本人の65~74歳では3人に1人、75歳以上ではおよそ半数が難聴に悩んでいるそうです。

 

 

難聴による認知症リスクを下げるには、健康診断などで定期的な聴力検査を受け、必要に応じてためらわずに補聴器を使うようにすることです。

 

合わせて加齢性難聴を加速させない生活習慣も求められます。

 

もっとも確実な難聴対策は、テレビや音楽を大きな音で聴かないこと。

音量は、必要最低限に絞って楽しんでください。

 

有毛細胞の表面に生えている聴毛は、とても繊細で、大音量にさらされると、傷ついたり抜け落ちたりします。

 

一度失われたら有毛細胞も聴毛も二度と再生しないので、大音量で落ちた聴力が、自然に回復することはありません

 

 

若い世代には、イヤホンやヘッドホンを耳につけっ放しにして、スマホやポータブルプレーヤーで音楽を聴いたり、ゲームをしたりする人が増えています。

 

WHO(世界保健機関)は、音楽を大音量で聴き続けたり、クラブやライブ会場などで大音量にさらされる生活を続けることにより、世界の12~35歳の若者のおよそ半数に当たる約11億人が、難聴リスクにさらされていると警告しています。

 

多くの若い世代にとって、認知症は縁遠い話かもしれません。

若いうちに難聴になり、適切な処置を怠っていると、将来の認知症リスクは高まるのです。

 

※ポイント 聴力が落ちたら補聴器の使用をためらわないようにしましょう

「一生ボケない習慣 より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、生活習慣・食生活に少し気をつけるだけでも進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

 

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン活性酸素)が増えるといわれています。

また、ビタミンB12は古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。

ビタミンB12は、脳の萎縮を食い止めるために重要な脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/