第6章 カロリー制限でいくか、糖質制限でいくか
糖質制限は、19世紀から糖尿病の改善やダイエットのために実施されてきた長い歴史があります。
20世紀になって見直されるようになり、日本でも近年ではブームともいえるほど急速に認知度が高まりました。
糖質制限では、その名の通り、「糖質」を制限します。
なぜなら、食べてエネルギー源になる3大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけだからです。
高カロリーのものを食べても、糖質の含有量が少なければ、血糖値は上がりません。
たとえば、サーロインステーキ2枚(300g)は約1000kcalですが、糖質をほぼ含まないため、血糖値は上がらないのです。
これと対照的に、ざるそば1枚(300g)は約400kcalですが、糖質を70g以上含むので、血糖値は上がります。
糖尿病予防のための糖質制限として注目されているのが、北里大学北里研究所病院糖尿病センターの山田悟センター長らが提唱している「ロカボ」です。
ロカボとは、低糖質(ローカーボ)を楽しく続けるための食事法で、糖質を「1食20~40g以内×3食+間食10g=70~130g」の摂取に抑えます。
ごはん・パン・麺類などの主食、お菓子といった糖質が多い食品を控えめにして、糖質が少ない肉類・魚類・豆腐(納豆)などの大豆製品・卵・野菜・キノコ類・海藻類などは気にせずお腹いっぱい食べるというのが、ロカボの基本的なプランです。
カロリー制限を選ぶか、それとも糖質制限でいくか。
いずれにしても、大切なのは「続けること」です。
どちらの方法にしても続けないと意味がないからです。
臨床で糖尿病の患者さんと接している肌感覚でいうと、カロリー制限より糖質制限のほうが続けやすい人が多いようです。
とくに高齢者にカロリー制限を説明すると、「あれもダメ、これも食べられないでは、長生きしても楽しくない」と拒絶反応を示すケースもあります。
美味しいものはだいたいカロリーが高いので、それも理解できます。
食べることは人生の大きな楽しみの1つですから、無理もありません。
その点、糖質制限は、シンプルにいうなら、ごはんやパン、麺類などの主食は控えますが、その分だけおかずはお腹いっぱい食べられるのが特徴です。
カロリー制限のように空腹を我慢する必要がないので、続けやすいのです。
また、糖質制限では、糖質を含まない焼酎やウイスキーといった蒸留酒の水割りやオン・ザ・ロック、無糖のソーダ割などは、飲みすぎない範囲内で楽しめます。
お酒にもカロリーはありますから、カロリー制限では禁酒が推奨されます。
糖質を含む醸造酒でも、糖質が少なめのワインならグラス2杯くらいまでは飲めます。
また、本来は糖質の多いビールや日本酒などの醸造酒も、近年は「糖質ゼロ」の商品がたくさん店頭に並ぶようになりました。
いずれにしても飲みすぎは禁物ですが、糖質制限では適度の飲酒が楽しめる点でも、カロリー制限より続けやすいと考え人が多いようです。
※ポイント カロリー制限か糖質制限か、自分が続けやすいほうを試しましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?