第2章 「感情的にならない」とはどういうことか
以前、『感情的にならない本』というタイトルの本を出しました。
当然のことなのですが、この本の中で私は、感情が湧き起こること自体を悪としたわけではありません。
正しくは、「感情に翻弄されてはいけない」と主張しているのです。
「うれしい」「頭にくる」「哀しい」「楽しい」といった喜怒哀楽は、人間が生きているかぎり、湧き起こる感情です。
これは生きていることの証であり、否定すべきことではありませんし、第一、やめることはできません。
それどころか、そうした感情は人間の進化の原動力になります。
「うれしいから、さらに」「怒りを覚えたから、改善しよう」「哀しいから、繰り返さないようにしよう」「楽しいから、続けよう」といった具合です。
ただ、過度の感情の高揚は、ときには人間に間違った行動を促すことがあります。
うれしいからとまわりの迷惑を考えずに騒ぐ、頭にきたから暴力を振るう、哀しいから死ぬことを考える、楽しいからギャンブル漬けの生活を送るなど、喜怒哀楽の感情を制御できなくなって、人間を「箍の外れた」問題行動に走らせることがあるのです。
この箍が外れた状態とは、言い換えれば、理性的・論理的思考が機能しなくなった状態なのです。
ご存じかと思いますが、箍とは、樽や桶を絞めて形を固定する竹や金属のことです。
つまり、樽を頭にたとえれば、箍=理性・知性の抑えが利いているおかげで、樽の中にある感情が溢れて問題行動を起こさないということです。
瞬間的行動を抑えるために、ひと呼吸を忘れてはなりません。
理性的・論理的思考力を劣化させないためのクセ
高齢になると、徐々に緩んだり、外れたりする傾向、つまりは理性的・論理的思考力が衰えたり、瞬間的に機能しなくなったりすることがあります。
もちろん高齢者にかぎったことではないのですが、コンビニや飲食店などで従業員の対応に怒りを爆発させたり、街中でほかの歩行者が邪魔になったからと暴言を吐いたり、ときには暴力行為に及んだりする人がいます。
また、これも高齢者にかぎったことではないのですが、たまたますれ違った女性、ちょっと言葉を交わした女性などにストーカー行為に及ぶ人もいます。
その女性が自分に単なる客以上の好意を抱いていると思い込んでしまった結果の暴走であったりします。
勘違いは誰にでもあることですし、ちょっと理性を働かせればわかることなのですが、行動に走ってしまうのです。
「彼女は自分に好意を抱いているに違いない」という感情的認識に対して、「思い込みかもしれない」という思考が働かないわけです。
「仮説→検証→修正」が機能するのがハツラツ脳であると述べましたが、これが機能しないヨボヨボ脳化しているといっていいでしょう。
では、こうした暴走を防ぐためには、どうしたらいいでしょうか。
「頭を冷やすクセ」をつけることです。
頭を冷やすとは、自分の脳に「待てよ」「希望的観測は捨てろ」「論理的に組み立てろ」という検証の指令を出すことです。
「待てよ」という思考のクセをつけることで、瞬間的な行動を制御することは可能です。
この「待てよ」というクセは、問題行動ばかりではなく、誤った発想、誤った思考の歯止めにも有効です。
ハツラツ脳には、この「待てよ」が間違いなく装備されています。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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ハーバード大学が20年にもわたって行なった調査によると、激しい怒りの後には、急性心筋梗塞や狭心症などの心臓発作を起こすリスクが4.7倍まで急上昇するそうです。
ただ、血管に悪いとわかっても、怒りや嫉妬といった感情は自然に湧き上がってくるもの。
完全になくすということはできません。
避けることはできないのなら、湧き起こってきた怒りを以下に鎮めるか、ストレスが持続しないように、いかに発散するかが大事です。
カーッと頭に血が上ったとき、簡単にできるリラックス法が、息を吐くということ。
ふーっと腹式呼吸で息を吐くと、副交感神経の働きを強めてくれます。
オフィスでも、どこでもすぐにできるのでおすすめです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
ビタミンB12について?