第4章 「アバウト」は素晴らしい!
これまでさまざまなシーンで「数字」にこだわらないことの大切さを述べてきましたが、食の面でも同じことがいえます。
「塩の摂取量は1日8グラム」「砂糖は25グラム」といったガイドラインがいつの間にか定着し、それを守ろうとする傾向が強すぎるように思います。
もちろん極端に塩分の多い食事は問題ですが、薄味に我慢せずに、おいしい食事をおいしくいただくのが健康長寿のひとつの秘訣です。
世に喧伝されている食の情報にとらわれず、自分がいいというものを信じて、自分が楽しめる食を見つけることが健康長寿につながります。
たとえば、私はヨーグルトをほぼ毎日欠かさず食べているのですが、そこには必ずシナモン、コリアンダー、ターメリックといったスパイスを混ぜています。
もう十数年前になりますが、「血管年齢」を調べる機会があったのですが、結果は驚きの80歳でした。
「これは何とかせねば」とさすがの私も思ったのでしょう。
詳しい経緯は失念しましたが、スパイスの効用を知り、それを続けたのです。
するとそれから6年後、再び調べた結果、「血管年齢」は15歳も若返っていたのです。
スパイス類が血管を若返らせる、といったエビデンスはもちろん存在しません。
栄養学の一部の研究者は大きく首を横に振るかもしれませんが、「それでもいい」と私は考えています。
細かい数字や一面的なエビデンスにとらわれず、少しアバウトな気持ちで運動や食と向かい合ったほうが結果は良くなる、と私は信じているのです。
昔の人も「鰯の頭も信心から」といっていたではないですか。
「とらわれない」がストレスを消してくれる
そんなある意味での「アバウトのすすめ」を補足してくれるインタビュアー記事を見つけました。
答えているのはタレントの池畑慎之介さん。
以前は「ピーター」の名でしたが、ここ数年は本名の池畑慎之介で活動しているようです。
その池畑さんが、2022年に古希(70歳)を迎えたそうです。
「70歳が老化の分かれ道」を説いている私には、年齢的にもその活動ぶりにとても興味を覚える人です。
その池畑さんが、インタビューで語っていました。
「年齢的に無理なことはしたくないですね。月に1日何時間体操したとか、運動を習慣にしてとか、そういうのはいいかな。70年生きて、54年間芸能界で頑張ってきたんだから、もうちょっと好きにさせてよって思うんですよね」
まったく同感です。
もちろん適度な体操や運動は大切ですが、時間を決めてストイックにこなす必要などはありません。
高齢者の「ねばならない」思考は、心を不自由にし、ストレスの元になります。
池畑さんは現在、キャンピングカーを購入し、一念発起して九州一周や桜前線を追いかける旅をしているそうです。
若々しい姿は「とらわれない、アバウトな思考」が支えているのではないでしょうか。
70代、80代の人には、大いに参考になるライフスタイルです。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン(情報の伝達と処理に特化した神経細胞)同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスといいます。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?