大脳皮質の巨大ネットワークが脳の活動の要
脳がほかの臓器と大きく違うのは、流れる血液の量です。
脳が必要とする血液の量は、毎分800ミリリットル。
心臓が身体中に送り出す血液は毎分4、5リットルですから、重さでは体重の2%にすぎない脳が、およそ5分の1を使っているのです。
その中でも最も多く血液を必要とするのが、司令塔である前頭連合野です。
脳は、およそ10%の神経細胞(ニューロン)と、90%のグリア細胞(神経膠細胞)で構成されています。
主役は脳の全体の10%しかない神経細胞で、情報処理という脳の機能を支えています。
神経細胞を構成する物質は身体のほかの部分の細胞と変わりませんから、iPS細胞で神経細胞を作ることもできます。
ほかの細胞と最も違うのは、ダメージを受けたとき、皮膚などの細胞は自然に治るのに、脳の神経細胞は治らないところです。
*iPS細胞:万能細胞の一種。幹細胞と同様に、増殖して各種の細胞へと分化が可能な細胞。山中伸弥らが初めて作成に成功した。
ただし、ほかの細胞の寿命が24時間から10年ほどなのに対し、神経細胞は数十年も生きます。
受精後17週で千数百億個に達し、以降は増えることがありません。
大人になると、1日に10万から20万個ずつ死滅していきます。
神経細胞は、ほかの神経細胞と接合してシナブスというつなぎ目を形成し、ネットワークを広げて情報を伝え合います。
大脳皮質だけで140億個ある神経細胞の一つひとつが、数個から数万個の神経細胞とつながり、巨大なネットワークを構成するのです。
これこそ、人間の脳の活動の要です。
*シナプス:神経細胞(ニューロン)とほかの神経細胞の結合部。
脳を覚醒させるドーパミンや、活動を抑えるセロトニンが有名です。
神経伝達物質は60種類ほどが確認されていますが、実際には100種類以上存在するといわれます。
神経細胞の機能は、次第に解明されてきました。
ファンクショナルMRI(磁気共鳴機能画像法)で集められた多くの人のデータから、喜怒哀楽によって同じ神経細胞が共通して活動する、といった解析が進んでいます。
何かの刺激に対して、この細胞は反応するけれども、この細胞は反応しない、といった微細なレベルまで研究されています。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
あきらめずにチャレンジし続ければ、復活の日はいつか訪れるかもしれません。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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