第5章 運動不足で男性ホルモンの量が減ってしまう
大半の「小太り」の人は健康に害を及ぼす危険性はありません。
しかし、極端な運動不足が原因で太っている人は、やはり注意が必要です。
日常的にタクシーやクルマばかり利用して、歩く距離が短く、習慣的にジムなどでの運動もしていない人たちです。
肥満の「要注意」のポイントになってくるのは筋肉量です。
男性の平均筋肉量は約25キログラム、女性は約18キログラムといわれています。
これは30歳くらいの平均値で、筋肉量が20歳を過ぎたあたりから加齢に伴って減少することを考慮すると、40歳以降はこれより減ってくることは十分、考えられます。
したがって、筋肉量の一定量の減少は問題ではないのですが、体を動かさないことが原因の減少は注意を要すべきです。
なぜかというと運動をせずに筋肉量が低下すると、それが男性ホルモンの量にも悪影響を及ぼすからです。
たとえば、歩行を例にとると、歩く時間が短くなる→筋肉が落ちる→男性ホルモンが減退→意欲低下→家に閉じこもりがち→歩かなくなる、となり運動不足が原因で男性ホルモンを減らす「負のスパイラル」が完成してしまいます。
こうなると足腰は衰え、ヨボヨボ脳にますます拍車がかかってきます。
中高年の運動の王様は、ウォーキング
運動が続かない、と悩む人が多いのですが、そういう人は「運動をしなければ」という思いが脅迫観念にまでなってしまうことがあります。
たとえばゴルフをする人も、週に1回は練習場に行くという目標がノルマのようになり、だんだん負担になってしまうこともあります。
テニスや水泳などにしても、「最近していない」ことがプレッシャーになりかねません。
「今日はいいか」と自分に甘える気持ちが自己嫌悪につながり、運動の効果どころかストレスの原因になってしまいます。
その点、お勧めなのは、やはり「歩く」ことです。
歩くに勝る運動はなし、と思っています。
ウォーキングは有酸素運動の代表格であり、何よりも心臓のポンプ機能を活性化させるという大きなメリットがあります。
心臓の収縮機能がアップすれば、少ない回数で脳を含めた全身に血液や酸素を供給できるようになります。
結果、免疫力は高まり、脳細胞が生き生きしてくるのですから、ヨボヨボ脳の回避にはうってつけです。
何よりも脳の活性化にフレッシュな酸素は欠かせません。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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物忘れとは、脳は、体の機能全般をコントロールしている司令塔ですが、加齢とともにその働きは衰え物忘れの症状が出てきます。
脳血管の動脈硬化を放っておくと、血液循環が悪くなって脳細胞の動きが低下し、記憶力や思考力などが鈍り物忘れがはじまります。
40歳を越えた頃から「ど忘れや物忘れが激しくなった」「人の名前がなかなか思い出せなくなった」などと物忘れを感じるようになるのは、脳機能低下のあらわれです。
脳の神経細胞は約140億個といわれ、25歳を過ぎると1日に10~20万個ずつ死滅していきます。
死滅した神経細胞は再生されず物忘れもひどくなります。
しかし、死滅した神経細胞は元に戻らなくとも、神経の通り、すなわちネットワークをよくすれば低下した機能を補い、さらには高めることができ物忘れも改善されます。
物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
なお、レシチンをアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
アルツハイマー型認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。
ビタミンB12について?