第5章 太股の太さと脳の状態の関係
第5章 太股の太さと脳の状態の関係
私は何とか毎日のスクワットを欠かさず、できるだけ20~30分は歩くように心がけています。
以前は外食に出かける際、行きは歩くものの、帰りはほろ酔いのままタクシーということが少なくなかったのですが、いまはなるべく歩くようにしています。
俳優の里見浩太朗さんが、以前あるインタビューで人の元気具合は足を観ればわかる、と話していました。
里見さんはゴルフ好きで有名のようですが、ゴルフ場の入浴施設でゴルファーの足を観察すると、元気そうな人はみんな太股が太いそうです。
太股の主な筋肉は大腿二頭筋で短距離、長距離を問わず、走る競技にとっては最も重要な筋肉といわれています。
たしかに、この筋肉が発達している人は、ふだんから運動が生活の一部になり、健康なのでしょう。
「人は足から老化する」といわれますが、運動が不足がちになれば筋肉が落ち、足が細くなるのは当然のことです。
筋肉は男性ホルモンとも深い関係にあり、筋肉量の多い人は男性ホルモンの分泌量も多いことがわかっています。
運動をしなければ筋肉量と男性ホルモン量の減少は避けられません。
その行き着く先はヨボヨボ足とヨボヨボ脳。
ハツラツ脳を作り、維持するためにも日常適度な運動はかかせないのです。
ひと工夫でウォーキングを「観光」「娯楽」にできる
運動に人一倍精を出す人の中には、「ウォーキングでは生ぬるい」とばかりに、ジョギングに励む人も多いようです。
しかし、60歳を過ぎたら無理に走るのはお勧めできません。
心肺に大きな負担を与えるジョギングは、ときに足腰に大きなダメージを与えかねないからです。
また、激しい運動は体内に活性酸素を大量に作ってしまいます。
体内に発生する過剰な酸素は、がんや心筋梗塞、脳梗塞などさまざまな疾病の原因のひとつになっていることがわかっています。
これが活性酸素の正体で、正常な細胞を過剰な酸素が錆びつかせ、細胞を老化させます。
ヨボヨボ脳を作り出す原因のひとつでもあるのです。
適度な運動は健康寿命、健康脳寿命の維持に必要です。
しかし、激しい運動は、そんな活性酸素を大量に産出するわけですから、とくに高齢者は注意が必要です。
2022年、6月から首都圏は猛暑になり、熱中症とコロナのダブルパンチに見舞われました。
そんな中、猛暑日の「東京の風景」としてメディアによく取り上げられる皇居外苑では多くのランナーが炎天下でも走っていました。
しかし、熱中症ももちろんですが、活性酸素のことも心配になってきます。
ウォーキングも他の運動と同様に「マンネリ」に陥ることがあります。
自宅付近を歩いていても、“散歩コース”にはかぎりがあります。
自分なりに工夫して、「飽きないウォーキング」を見つけることが大切です。
タレントの有吉弘行さんはプライベートでもよく散歩をするそうです。
多い日には朝から歩いて24キロにもなったとか。
まさに“筋金入り”の散歩人ですが、歩くときはたまに目的地まで電車で行き、その周辺を歩くそうです。
こうなると、散歩というよりは、「小さな観光」、「手ごろな娯楽」といった感じです。
これなら歩く環境が変わり、ウォーキングの楽しみも増します。
観光地もおすすめですが、「若いころ恋人と出会った思い出の地」「新入社員のころの思い出の地」など記憶をたどりながら歩くのも一興です。
スマホの地図アプリを活用すれば、新たな散歩コースの発見も可能です。
「ハツラツ脳を歩く娯楽で育てる」を心がけたいものです。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?