なぜ昔覚えたことは忘れないのか

イメージ 1
なぜ昔覚えたことは忘れないのか
 
記憶力といっても、昔覚えたこと、学習したことは忘れないものです。
経験によって獲得された知的能力、いわば「経験知」といっていいのでしょうが、これは年をとっても比較的よく保存されます。
言語能力、昔勉強した漢字などを忘れないというのは、そういう能力です。
 
しかし、新しいものを創り出す能力は、年をとると落ちていきます。
一般には40歳くらいから落ちます。
 
言語能力などは、60代くらいまでは保たれますが、7080歳を過ぎてから、少しずつ落ちていきます。
ですから、経験知と創造的な知能とは、明らかに違うものだといわれています。
 
経験知が蓄えられるのは、大脳皮質です。
しかし、大脳皮質のどこに蓄えられているのかといえば、それはいまのところわかっていません。
いろいろな部分に蓄えられているのだろうと推測されています。
 
それに対して、新しいものを創り出す能力は、ワーキングメモリの働きです。
 
ワーキングメモリとはこれまで保存されていた知識を、その場の状況に応じて引き出して使う能力です。
この能力は前頭前野の働きです。
前頭前野がいろいろな部分に指令を出して、記憶を組み合わせて統合して使うのです。
 
前頭前野のどこが指令してやっているのかまではわかりません。
ですからワーキングメモリが前頭前野のどの部分にあるのかは正確にはわからないのですが、脳のいろいろな部分をうまくつないで、状況に応じて組み合わせる回路ができると考えられます。
 
たとえば、人は覚えていることがいろいろある中から、その場の状況に応じて必要なものをいくつか引き出してつないで使います。
そのときに、たとえば三つなら三つをつなぐ回路ができるわけです。
違う状況のときには、別の五つをつないで使うということをするのがワーキングメモリです。
 
そのように回路を選択しているわけです。
それが年をとるにつれて、うまく選択してつなげることができなくなるので、適切な反応ができなくなっていくのです。
 
ということは、前頭前野の働きをよくしておくことができれば、年をとっても、創造力も落ちないということになります。
 
そうはいっても、前頭前野だけが重要かといえばそうではありません。
脳は機能分担されている面もありますが、何かをしているときには、脳全体が動いているものです。
一部だけの血流が盛んになっているように見えても、今の測定技術では見えなくても働いていると考えられます。
 
ですから、脳細胞全体を健康に保つ、つまり、最大酸素摂取量を維持して、血流をよくすることが大切だということになるのです。
 
       創造力は中年から衰えやすいが、経験を生かす能力は年をとっても衰えない
       経験知は大脳のいろいろなところに蓄えられている
       前頭前野の働きを活発にしておけば、年をとっても創造力を発揮できる
「いつまでも『老いない脳』をつくる10の生活習慣 より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
≪ビタミンB12で脳の機能低下防止と対策!≫
 
筋肉が動くように脳から指令を伝える神経が、正常に働くためには、いくつものビタミンB群の仲間が必要です。
筋肉や神経を動かすエネルギーをつくるのがB1神経伝達物質の生成にはたらくのがB6、そしてB12の役目は、神経細胞内の核酸たんぱく質などを合成したり、修復することにあります。
どのビタミンが不足しても神経は正常に働いてはくれません。
 
脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
熟年の人達が正確で、いろいろな状況下で“成熟した”判断を行い、好ましい結果を得ることができるのは、そのためであろうと思います。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12であります。
 
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。

ビタミンB12について