脳が痛みを減らすこともあれば、痛みを増やすこともある

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脳が痛みを減らすこともあれば、痛みを増やすこともある
 
たとえば指を切ったとき、痛みを感じるのは指だと思いますか、脳だと思いますか?
 
答えは、脳です。
 
「切った」という信号が指から神経を伝わって脳に至り、脳が痛みを感じるのです。
 
でも、痛いのは脳ではなく、指ですよね。
不思議ではありませんか?
 
これは「感覚の投射」と呼ばれる生理現象で、生まれつき備わっているものです。
感覚の投射があるからこそ、指を切ったとき、とっさに指を引っ込めたり包丁に入れた力を抜いたりできるのであって、もしも感覚の投射がなかったら、大ケガをしてしまうでしょう。
 
ところが、感覚の投射があるために、不思議なことも起こります。
大事故に遭って、腕を切断してしまったとします。
すると、切断してしまったはずの「腕」が痛んだりするのです。
切断したばかりのときは、脳がまだ覚えているために、「腕がある」ように感じるのです。
これを「幻視痛」とか「幻視感覚」と呼びます。
 
その状態のときに、患者さんに「(ない方の)腕に触ってみてください」と言うと、本来腕があるべき場所に触れて、「「触った感覚がある」と言います。
けれども、ある程度時間が経って脳の認知が修正されると、腕がだんだん小さくなっていき、最終的には切断面がわかるようになります。
そして、切断面に感覚の投射が生じます。
 
もう一つ、不思議な話をしましょう。
私たちは普段、足に障害がなければ、ごく当たり前に立ったり歩いたりします。
体重が60キロの人なら、両足だけで60キロを支えているわけです。
不思議ではありませんか?
 
もしも、仰向けに寝て両足を天井に向け、足の上に60キロのバーベルを乗せたら、相当痛いのではないでしょうか。
痛いと感じる前に、重くて耐えられないかもしれません。
けれども、自分の足で立つ分には、重くも痛くもありません。
どうしてでしょうか?
 
脳が感覚を選択して、使い分けているのです。
「これは重みではない」「痛みではない」と。
痛みは、足などの末梢神経を通って脊髄に入り、脊髄を上に登って(上行)脳に入り、脳が痛みを感じます。
 
ところが脳は、やってくる痛みをただ待っているだけでなく、信号を出して「これは痛みではない」と、痛みを抑制することがあるのです。
これを「下行性抑制系」と呼びます。
そのため、私たちは、小さな足に全体重がかかっても、痛みを感じないのです。
 
けれども、この下行性抑制系が、なんらかの原因によって破綻することがあります。
 
すると、あらゆる刺激が痛みとして脳に認知されてしまいます。
線維筋痛症の患者さんのなかには、身体中が痛くて服が肌に触れただけでも痛い、寝ると自分の重みで痛い、ちょっとしたことが痛くて仕方がない、という人がいます。
炎症もなにも起こっていないにもかかわらず、痛いのです。
線維筋痛症はまだ原因不明ですが、下行性抑制系の破綻が関わっていることが最近の研究で明らかになってきました。
 
このように、脳は痛みに大きく関わっています。
脳は痛みを利用して身体を守りますが、同時に痛みを抑制したり、増幅したりもするのです。
「天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法 より」
 
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ビタミンB群が不足するとエネルギーを生み出すことができず、疲れがなかなか回復しなくなったり、細胞の修復機能がダウンして、肌荒れや口内炎が治りにくくなったりするのです。
 
なかでも注目が、ビタミンB12です。
古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。
 
ビタミンB12は水溶性ですが、脂肪成分と馴染みやすい構造を持っています。
脳はタンパク質とともに脂肪成分を多く含む器官です。
そのためビタミンB12は血液脳関門を通過できるという特徴を持った貴重な栄養素なのです。
ビタミンB12は、体にとって重要なタンパク合成と核酸(DNA)合成を司る栄養素です。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
 
現在、ビタミンB12は神経ビタミンとしての認識が一般的となっています。
末梢神経の不調はもちろん、中枢神経の機能低下にも有効であることが明らかになっています。
ビタミンB12の働きとしては、成長を促進し、子供の食欲を増進させる、エネルギーを増大させる、脂肪・炭水化物・タンパク質が適切に使われるようにする、集中力・記憶力を高めて精神を安定させる、などが挙げられます。
また、神経細胞内の表面の脂質膜の合成にも関与しており、末梢神経の傷の回復にも効果があり、実際、腰痛などの治療にも採用されています。
腰痛や肩こり、手足のしびれにもおすすめです。
 
ビタミンB12の働き
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