運動しながら頭も働かせる。「ながら作業」には一層の効果がある
■脳の別々の場所を動かす
認知症の予防策として、デュアルタスク(二重課題)の効果が注目されています。
いわゆる「ながら作業」のことで、脳の働きを維持するために有効です。
たとえば室内で体操をしながら、頭の中で計算をする。
または、ジョギングしながら歌を歌う。
古い歌ならばその当時の思い出がめぐるなどして、脳の記憶への刺激になります。
散歩しながら、景色を題材に俳句を作るのもいいでしょう。
数人で会話をしながら楽しく散歩することもデュアルタスクになります。
ただし、会話に夢中になって、暴走してくる自転車への注意を怠ってはいけません。
また、コロナ禍の中ではマスクをつけての会話、そしてソーシャルディスタンスにも配慮しましょう。
体操しながらテレビを眺めるだけでも、広い意味でデュアルタスクにつながるかもしれません。
運動機能と一緒に頭を使うと、脳の別々の場所を同時に働かせることができるのです。
国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ(cognicise)」は、英語のcognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせた造語です。
個人や複数人で、軽い運動をしながら計算やしりとりをするプログラム。
運動と認知トレーニングの組み合わせによって、MCI(軽度認知障害)の段階から認知機能が低下するのを抑制できることが示唆されています。
どんな内容の運動をどのくらいやるのが適しているかを調べて自分に課すよりも、好きなことや楽しめることを自分が可能な運動にプラスして、自分なりのやり方を見つけることです。
散歩しながら引き算をするよりは歌う方が楽しいだろうと思いますが、楽しめるのであれば、計算でも英会話でもかまいません。
嫌々やっても、まったく意味がないのです。
脳の健康にとって大事なのは、「意・情・知」です。
楽しくやれれば意欲が湧くし、相乗効果も上がります。
意を持ってプランニングし、情で楽しみ、結果として知の老化を防ぐ、これが理想です。
※WHOが2010年に発表した「健康のための身体活動に関する国際勧告」は、65歳以上の成人を対象に、次のような運動を勧めています。
1.週あたり150分の中強度有酸素運動、または、週あたり75分の高強度有酸素運動、または、同等の中~高強度の運動を組み合わせた身体活動を行なう。
2.有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続ける。
3.さらなる健康効果のため、中強度有酸素運動を週300分に増やす、または、週150分の身体活動を高強度の有酸素運動にする、または、同等の中~高強度の身体活動を組み合わせて行なう。
4.この年齢群に属する高齢者で運動制限を伴う場合には、バランス能力を向上させ転倒を防ぐための身体活動を週3日以上行なう。
5.筋力トレーニングは週2回以上、大筋群を使うトレーニングをする。
6.健康状態によって、高齢者がこれらの推奨する身体活動を実施できない場合は、身体能力や健康状態の許す範囲で可能な限り活動的でいること。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
脳を酷使するときにも、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると、動脈硬化の原因として注目されているホモシステインが増えるといわれています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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