【心得1】ひなたぼっこをして脳を休める
「スマホ認知症」になる人は、ほぼ100パーセント脳過労状態に陥っています。
日々の仕事やIT機器への依存習慣によって、脳の処理能力が低下するほどに疲労を蓄積してしまっているわけです。
この状態を放っていると、前頭前野やデフォルトモード・ネットワークの機能が落ちて、うつ病や不定愁訴などの心身トラブルに発展していくようになります。
ですから、まずはしっかり休んで、脳にたまった疲労を回復させなくてはなりません。
「スマホ認知症」を解決するファーストステップは、「とにかく脳を休ませること」だと心得るようにしてください。
もの忘れ外来にいらっしゃる「スマホ認知症」の方々も、休んでもらうのが最優先。
いつも診断書を書いたうえで「とにかく会社を休みなさい」「仕事を休んで脳を休めなさい」とすすめています。
もちろん、休んでいる間は、スマホやパソコンをやるのは極力控えてもらい、家で仕事もやるのもNGです。
でも、まじめな方の場合、「スマホもダメ、仕事もダメ」となると、“じゃあ、何をすればいいの?”と思ってしまうことが多いようです。
実際、患者さん方から「休んでいる間、いったい何をしたらいいですか?」という質問をよく受けます。
そういうときは、いつも「ひなたぼっこをしてください」と答えます。
陽光の中でゆっくりとした時間を過ごすことなど、忙しく働いているときはほとんどできないはず。
だから、「休んでいるうちに一生分のひなたぼっこをするくらいのつもりで、がんばってひなたぼっこをしてください」と言うのです。
ひなたぼっこに飽きたら、ゆっくり散歩をするのもおすすめです。
普段のせかせかとした早足ペースではなく、なるべくスローペースでぶらぶらと歩きましょう。
こちらも、散歩に飽きて時間を持て余すくらいに歩いてみてください。
もし、どこか行く目的地が欲しいなら、「自分が卒業した小学校や中学校」を訪ねてみるといいでしょう。
昔懐かしい校庭に立ってみたり、通い慣れた通学路を歩いてみたりすると、心が癒されるのはもちろん、あれやこれやの思い出がよみがえってきて、「あの頃の自分」「本来の自分」に立ち返ることができるかもしれません。
きっと、何日かにわたってこういった休み方をしていれば、「時間の流れ方」がいつもと大きく違うことに気づくでしょう。
さらに、“こういうふうにゆっくりと時間を過ごしていても、まったく何も問題はないんだ”“スマホやパソコンがなくても別にたいした支障はないんだ”といったことが分かってくるはずです。
それが分かれば、“あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ”“スマホをチェックしなきゃ”という気持ちが収まって、心身に少し余裕が出てくることでしょう。
その余裕は、脳の疲れがとれてきたという証拠なのです。
そして、こういう休み方を積み重ねていけば、頑固な疲れも少しずつとれて、着実に脳が回復へと向かっていくことでしょう。
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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