「ストレスフリー」に生きるための「直感力」
「共感力」と「切り替え力」――この2つの前頭前野の機能は、私たちが社会生活を営むうえで、不可欠なものといって間違いありません。
もちろん、ただ生きながらえるだけなら、この2つの働きはなくてもかまいません。
食事をとって排泄するという動物的な生活を送るだけなら、共感する力も切り替える力も必要ないわけです。
しかし、集団のなかで生きるためには、そうはいきません。
自分が「これをしたい」といっても、相手が「それはしたくない」と反応することはいくらでもあります。
そんなとき、「じゃあ、相手はどういう気持ちなのか」「本心ではどう思っているのか」と読み取るのが「共感力」であり、その読み取った結果をもとにして、自分の行動を適切に軌道修正する能力が「切り替え力」なのです。
実際には私たちの脳は、こうした作業を瞬時におこなっています。
しぐさ、表情、視線、顔色を1つひとつ悠長にチェックしているわけではありません。
その全体を一瞬で感じ取っているわけです。
それが、ふだん私たちが「直感」と呼んでいるものの正体なのです。
直感というと、根拠のない予想のように受け取られがちですが、そうではありません。
しっかり修業を積んだお坊さんや、巫女さんのように勘の鋭い人というのは、相手の顔を見ただけで「この人には大きな悩みがあるな」「緊迫した状況に置かれているようだ」といったことがわかるものです。
もちろん、それができるのは、相手の外見から瞬時にさまざまな情報を得ているからです。
「共感力」と「切り替え力」から一歩進んだ先に、そうした「直感力」というものが存在していると考えます。
そうした直観力を手に入れることができれば、他人の心やその場の空気を読んで臨機応変に対応できるので、ストレスを受け流して生きていくことができるはずです。
その姿は、悟りを開いたお坊さんを思い浮かべるといいかもしれません。
いくらストレスを受けても飄々と生きていく、それがまさに「ストレスフリーな脳」の極致といっていいでしょう。
もちろん、一般人の私たちがいきなり悟りを開くのは無理な相談ですが、日々「直感力」を磨くことで、そこに少しでも近づいていきたいものです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?