第3章 「食事」で意識したい習慣
肉か野菜から食べる
タンパク質を上げて、糖質と塩分を下げる
血管の健康を守る基本は、やはり食事です。
簡単に言ってしまえば、タンパク質を十分に摂って、糖質と塩分を控えめにすることです。
コレステロールを気にする人がいますが、その内容が重要です。
大切なのは善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)の割合です。
多少、悪玉が多くても、善玉が多ければ、あまり気にする必要はありません。
もっと言えば、悪玉のなかでも、本当に悪いのは小型LDLコレステロールです。
コレステロールは細胞壁などをつくる材料になりますから、低すぎてもいけません。
細胞は、最初に食べたものを貪欲に吸収する
まずは、糖質の話から始めましょう。
なぜ、糖質の摂りすぎが悪いかといえば、血糖値が上がるからです。
同じ量の糖質を食べても、血糖値さえ上がらなければいいわけです。
「そんな都合のいいこと、あるの?」と思う人もいるでしょう。
実は、あるんです。
小腸は、空腹の状態で食事をすると、最初に食べたものを貪欲に吸収するという性質があります。
小腸の壁のひだは、食べ物が入ってくるのを今や遅しと待ちかまえているのです。
そんな状態で糖質たっぷりの白いご飯を食べると、あっという間に血糖値が跳ね上がってしまいます。
これを血糖値スパイクといいます。
逆に先にタンパク質を食べれば、タンパク質をむだなくしっかりと吸収してくれるわけです。
つまり、食事が出てきたら、ご飯から手をつけずに、肉や魚、あるいは野菜から食べるようにすればいいのです。
野菜に多い食物繊維は吸収されずに、腸に中でグズグズといつまでも居座ります。
食物繊維が先に入っていると、ますます糖質の吸収がゆっくりになります。
なお、糖質スパイクは、健康診断で計る血糖値が正常な人でも起こります。
急速に上っても、正常に戻るので発見がしにくいという特徴があります。
すぐに正常に戻ればいいように感じますが、短時間でも血糖値が高い状態があると、血管や肝臓にダメージを受けることが報告されているので、油断大敵です。
「血管が強くなる習慣 より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
ビタミンB12について?