第4章 高血圧だと認知症リスクが10倍以上!
まずは、高血圧と認知症の関わりについて見てみましょう。
久山町研究では、1988年に検診を受診した認知症のない65~79歳の住民668人を、血圧レベルで4つに分類して17年間追跡調査。
「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」の発症リスクを検討しています。
「収縮期血圧」とは、心臓がドクンと収縮して血液を送り出したときの血圧で、「最高血圧」(上の血圧)のこと。
「拡張期血圧」は、心臓が拡張して血液を受け入れているときの血圧で、「最低血圧」(下の血圧)のことです。
4つの血圧レベル
正常血圧 収縮期血圧120mmHg未満かつ 拡張期血圧80mmHg未満
高血圧前症 収縮期血圧120~139mmHg または 拡張期血圧80~89mmHg
高血圧ステージ1 収縮期血圧140~159mmHg または 拡張期血圧90~99mmHg
高血圧ステージ2 収縮期血圧160mmHg以上 または 拡張期血圧100mmHg以上
この分類で、正常血圧の人が脳血管性認知症を発症するリスクを1とするなら、高血圧の人が脳血管性認知症を発症するリスクは、次のようになりました(中年期は50~64歳、老年期は65~79歳。中年期は、同じ集団が15年前に検診した際の血圧値を用いています。性、年齢、降圧薬服用、糖尿病、喫煙、飲酒などの因子を調整済み)。
高血圧と脳血管性認知症の発症リスク(正常血圧の櫃のリスクを1とした場合)
高血圧前症 中年期2.4倍 老年期3.2倍
高血圧ステージ1 中年期5.9倍 老年期4.7倍
高血圧ステージ2 中年期10.1倍 老年期7.3倍
中年期でも老年期でも、血圧が高くなるほど、脳血管性認知症の罹患リスクが上がることがわかります。
とくにステージ1以降の高血圧では、正常血圧の人と比べると統計上有意な差があり、中年期ではステージ1で約6倍、ステージ2で約10倍もリスクが高いことがわかりました。
一方、アルツハイマー型認知症に関しては、老年期のみならず中年期の血圧レベルの上昇が、発症リスクを高めるような傾向はみられませんでした。
※ポイント 高血圧で脳血管性認知症の発症リスクが高まることを知っておきましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?