第3章 メモ魔からエッセイストになる方法
第3章 メモ魔からエッセイストになる方法
70代、80代の高齢者の間で自費出版が静かなブームになっているようです。
いくつかの出版社では、それが主たる事業になっていると聞きます。
小説、詩、俳句、評論、自分史、あるいはさまざまなジャンルの研究結果を本にして出版するのです。
高齢者のセカンドライフのトライとしては、じつにいいことだと思います。
とりわけ、自分史本の出版は人気で、さまざまな出版社が取り組んでいます。
自分史出版では、自分で原稿を書いて、それを本にするケースもありますが、それとは別に、聞き書きというスタイルで、依頼者の話を聞いて、専門のライターがまとめて、それを出版社が本として製作、販売する形式もあるようです。
いずれにせよ、こうしたトライは、どんなジャンルであれ、自分の頭の中にある創作欲、知識、記憶を話したり、書いたりする情報の出力作業ですから、脳を活性化することは間違いありません。
その中で、とくにおすすめしたいのは「エッセイ」を書くことです。
「あれ、すごくいいことに気づいた」
「もしかしてこんな考え方もあるんじゃないかな」
とくに大きな出来事がなくとも、人の頭にはつねにいろいろな「思い」が生まれます。
しかし、そのほとんどは、あとかたもなく消えていきます。
せっかく浮かんだ凄い「思い」や突如浮かんだ「閃き」ですが、意識的に書き留めておかなければ、「なかったこと」になってしまいます。
「妙案を思いついたのに、まったく覚えていない」
そんな経験をして、悔しい思いをすることが誰にもあるはずです。
考えてみれば、じつにもったいないことですし、ある意味で「自分の脳に失礼」なのではないでしょうか。
日記をつけることを習慣にしている人はいますが、ほとんどは一日の決まった時間に書くでしょうから、覚えておきたい思いや閃きを忘れてしまうこともあるはずです。
そこで、勧めるのが「メモ」の習慣です。
「思い」や「閃き」を忘れてしまうのは、もったいない
いつまでもハツラツ脳でいるためには、新しい情報の入力が不可欠ですが、その入力された新しい情報をいったんプールする部位は、脳の海馬です。
ところが、この海馬は加齢とともに衰える傾向が強い部位です。
新しい情報を忘れてしまうのは、この海馬の衰えが原因と考えられています。
この「忘れる」を防ぐために必要なのが、情報の出力です。
ご存じのように、ここでいう出力とは、声に出したり、書いたりすることです。
出力することが、新しい情報の海馬へのプール、ひいては定着を促します。
声に出して人にしゃぺることも出力ではあるのですが、情報をしっかりと定着させるためには、書くことがいちばんです。
ですから、「思い出せない」と悔しい思いをしたくなければ、メモをすることをクセにすることです。
誰かにしゃべったとしても、忘れたからといって、いちいち尋ねることもできません。
だからといって、ICレコーダーをつねに持ち歩いて録音するわけにもいきません。
スマホにメモ機能が備わっていますから、散歩中や電車の中でもメモは可能です。
このメモをもとに、日常生活の思いや閃きを、改めて自分なりの文章に仕上げるのです。
「この形容詞は違う」「この言葉以外に、腑に落ちる言葉はないか?」「文章が長すぎる」「リズムがいまひとつ」「自分が書いた言葉=出力した言葉」に対する疑問、不満の言葉をもう一度脳に入力して、新しい言葉を出力するのです。
こうした繰り返しは、当然、脳を悩ませることになります。
脳の活性化のためには、漢字を思い出しながら手書きで書くのがいちばんです。
忘れかけていた漢字を思い出し、手指を使ってする作業は、間違いなく脳の活性化につながります。
もちろん、パソコンでもかまいません。
こうした入力⇔出力を長く続けていれば、あなたのハツラツ脳を維持しながら、気がつけば立派なエッセイストということになります。
どこかで発表すれば、自費出版どころか、出版社の目に留まって印税が支払われることになるかもしれません。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?