■「セロトニン」が不足する本当の理由

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■「セロトニン」が不足する本当の理由
 
「くすぶり型の炎症」は、脳内でも起こります。
うつ病の患者さん、特に重症のうつ病の患者さんは、「CRP」をはじめ、体内の炎症レベルを表す値が高いというデータもあります。
体内のくすぶりやストレスによって「炎症を引き起こすメディエーター」が増えると、まず、神経細胞の情報送信部が集まっている「白質」という部分が障害を受けます
そのため、セロトニンノルアドレナリンといった「神経伝達物質(メッセンジャー)」の働きも悪くなってしまうのです。
 
なおかつ、セロトニンの材料である「トリプトファン」というアミノ酸は、セロトニン以外のものの合成にも使われるのですが、「炎症性のメディエーター」は、セロトニン以外がつくられるほうへ導いてしまいます。
また、セロトニンの取り込み(吸収・分解)を後押しすることもわかっています。
つまり、「炎症を引き起こす物質(メディエーター)」が増えると、セロトニンは少なくなるということです。
 
おさらいすると、
 
◎慢性炎症があると、「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の働きが悪くなる
◎慢性炎症があると、セロトニンは不足する
 
これまでいわれていた「モノアミン仮説」とも矛盾していませんよね。
ただ、セロトニンノルアドレナリンといったメッセンジャーが不足することはおおもとの原因ではなく、途中経過だったということ。
「慢性炎症」のほうが先にあって、セロトニンノルアドレナリン不足を招き、うつ病を引き起こしていたわけです。
 
■ストレスが脳細胞を破壊する
 
もうひとつ、最近わかってきたことがあります。
これまでうつ病のような気分障害は、脳の働き(感情にかかわる情報伝達など)が損なわれるタイプの心の病気であって、脳に物理的なダメージ(障害)が生じるわけではないと考えられていました。
ところが、最近、うつ病の人の脳にも物理的な障害があることがわかってきたのです。
その裏にも、「慢性炎症」が潜んでいます。
ストレスになるようなことが起こると、「炎症を起こせー!」と伝えるメディエーターが増えるのですが、その一方で、ストレスに対抗するために「コルチゾール」などの「ストレスホルモン」が分泌され、炎症を抑えるよう働きます
 
ところが、ストレスが長引いて、「くすぶり型の炎症」がだらだらと続いていると、ストレスホルモンも出続け、過剰になってしまうのです。
「炎症を抑えてくれる存在なのだからたくさん出てもいいのでは?」と思うかもしれません。
ところが、ストレスホルモンは過剰になると、「活性酸素」を増やし、脳の神経細胞を死滅させてしまうのです。
 
ストレスが続くと、心も体も疲れますが、それだけでなく脳がむしばまれていると思うと、おそろしいですね。
なかでもとくにダメージを受けるのが、「海馬」や「扁桃体です。
「海馬」といえば記憶を司る部分として有名ですが、感情にもかかわっています。
海馬も扁桃体も、感情にかかわる部分で、うつ病と深く関係しているのです。
その海馬と扁桃体が、うつ病の患者さんの脳では萎縮していることが多数報告されています。
 
これまでうつ病の治療といえば、抗うつ薬を飲んでセロトニンノルアドレナリンなどを増やすというのが主流でしたが、その上流に「慢性炎症」があることがわかってきたいま、うつ病治療でも「抗炎症」が注目されはじめています。
 
※「高感度CRP(C-reactive protein:C-反応性タンパク)」
炎症が起こると、肝臓がいくつかのタンパク質をつくって、血流に乗せ全身に送り込みます。
そのひとつが、「CRP」というタンパク質です。
一般的に医療現場では、「CRP」は、急性炎症があるかどうかの目安としてつかわれています。
 
※「モノアミン仮説」
モノアミンとは、「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」「ノルアドレナリン」といった「神経伝達物質」のこと。
神経細胞から神経細胞へ情報を伝えるときのメッセンジャー”のような役割です。
脳内で「モノアミン」が不足しているため、神経細胞間の情報伝達がスムーズにいかなくなって、うつ病を発症する――。
これが、「モノアミン仮説」です。
「体内の「炎症」を抑えると、病気にならない! より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
 
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
 
ビタミンB12について?
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