
アルツハイマー病の予防にも
加齢は脳を劣化させる要因であることは確かです。
加齢によって脳が少しずつ縮小していくのは避けられません。
ですが、脳の縮小の程度は個人差が非常に大きいのです。
たとえ同じヒト脳でも、箇所によって縮小の度合いは大きく異なります。
加齢によって脳の中でもっとも顕著に縮小するのが、海馬、つぎが記憶と注意力をつかさどる前頭葉、右脳と左脳をつなぐ側頭葉です。
海馬の縮小は、30歳ころから徐々にはじまることが多いのです。
海馬の縮小が進むほど、認知力が衰退していきます。
ですが、コロンビア大学のスモールの研究によって、エクササイズによって海馬の縮小をかなりの程度遅れさせることが可能であることが明らかになりました。
単語を思い出す試験によって記憶力を測定したところ、エクササイズをした人は、エクササイズをしない人に比べ、記憶力が顕著に高まっていました。
しかも、最大酸素量がいちばん増加した被験者は、記憶力の改善の度合いもいちばん高かったのです。
用量―反応の関係が成り立つことから、ヒトにおいても、エクササイズが海馬の神経新生を促進していることが証明されました。
2006年、イリノイ大学アーバナ校のアーサー・クレイマーも、エクササイズによってヒト脳に神経新生が起こることを報告しています。
被験者に選ばれたのは、ふだんあまり運動しない60~79歳の高齢者59人です。
被験者を、1日1時間の速めのウォーキングを週3回行うグループと同じ時間にストレッチを行うグループの2つに分けました。
このストレッチは、心拍数を上げないおだやかなものです。
そして、6ヵ月後に彼らの脳をfMRIで観察しました。
加齢によってもっとも縮小しやすい脳の箇所が、エクササイズの恩恵を受けて回復するというのは、朗報です。
クレイマーはこう言います。
「エクササイズをはじめて3ヵ月後には、脳の体積は3年若返っています」
また、1998年に、ヒト脳における神経新生を発見したゲイジはこう言います。
「これは、すごいことです。年老いても、私たちは、心の運命に影響をおよぼすなにかができるのです」
ジョギング、水泳、サイクリング、ウォーキングなどのエクササイズは、非常にすぐれたアンチエイジング法なのです。
マラソンを完走できなくてもいいのです。
それほど強靭な身体をもたなくとも、ほとんどの人はジョギングや速歩きならできます。
「よみがえる脳 より」
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脳の中のシナプスが密であればあるほど、いろいろな能力が高まります。
記憶力でいえば、記憶したことが鮮明に脳に焼きつけられることになります。
ところが、脳の研究が進み、近年になって、神経細胞は年をとっても増えることがわかったのです。
その中でも重要なものがビタミンB12です。
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
どのビタミンが不足しても神経は正常には働いてくれません。
ビタミンB12が効果的に作用するには、ビタミンB12単体ではなく葉酸など他のビタミンB群と一緒に摂取することが望ましく、また、ビタミンB群はバランスよく摂ることで相乗効果を発揮します。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
どのビタミンが不足しても神経は正常には働いてくれません。
ビタミンB12が効果的に作用するには、ビタミンB12単体ではなく葉酸など他のビタミンB群と一緒に摂取することが望ましく、また、ビタミンB群はバランスよく摂ることで相乗効果を発揮します。
脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることが判っています。
ビタミンB12について