認知症を引き起こす病気と治療法 ①アルツハイマー型認知症

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認知症を引き起こす病気と治療法 ①アルツハイマー認知症
 
●脳が徐々に萎縮していくアルツハイマー認知症
認知症の中でもっとも多いのはアルツハイマー認知症で、推定患者数は100万人といわれ、女性は男性の1.5倍から2倍の発症率とされています。
 
1906年、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーがはじめて症例を報告し、「アルツハイマー病」「アルツハイマー認知症」と名づけられました。
 
以前は、3050代に発症するものを「アルツハイマー病」、老年期に発症するものを「アルツハイマー認知症」と呼んで区別していましたが、現在では年齢に関係なく、いずれも、「アルツハイマー認知症」と呼んでいます。
 
アルツハイマー認知症は、大脳皮質にある神経細胞が徐々に死滅し、言語、記憶、聴覚にかかわる側頭葉と、体中の感覚情報が集まる前頂葉から、脳の萎縮が始まる病気です。
神経細胞が死滅することによって神経伝達物質も失われ、脳全体のネットワークが崩壊して脳の働きが低下し、さまざまな症状を引き起こします。
 
●治療の鍵を握る酵素ネプリライシン
通常、成人の脳の重さは1400g前後ですが、アルツハイマー認知症を発症して10年ぐらいの脳は萎縮して、800900g以下に減少するといわれています。
 
アルツハイマー認知症の人の脳を調べると、シミのような老人斑と、神経細胞の中には糸くずのような神経原線維変化がみられます。
老人斑は、「βアミロイド」と呼ばれるタンパク質が神経細胞内に沈着して変化したもので、この時点で
神経細胞はすでに死滅しています。
また、神経原線維変化は、リン酸化されたタウタンパクが神経細胞内に蓄積して細胞を死滅させるもので、βアミロイドによって神経原線維変化も促進されることがわかっています。
 
通常βアミロイドは、有酸素運動によって増加するネプリライシンという酵素で分解され、脳内にとどまることはありませんが、加齢などによってネプリライシンの活性が低下し、細胞に蓄積されることがわかってきました。
 
20133月、理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣シニアチームリーダーと長崎大学岩田修永教授らのチームは、ネプリライシンをつくる遺伝子をウイルスに組み込み、アルツハイマー認知症を発症したマウスに注射して遺伝子治療を行ったところ、βアミロイドの量が半減し、健康なマウスとほぼ同じレベルまで学習・記憶能力を回復させることに成功したと発表しました。
 
これによって、ネプリライシン遺伝子導入の有用性が明らかになり、アルツハイマー認知症の根本的な治療が実現できる可能性が出てきました。
 
このほか、これまでの研究によって、活性酸素のβアミロイド生成への関与や、「アポリポタンパクE4と呼ばれる遺伝子がβアミロイドを沈着させやすくすることが判明しており、遺伝も危険因子の一つであることがわかっています。
 
●症状はゆっくりと進行していく
 アルツハイマー認知症の初期の症状は物忘れが中心で、直前の記憶から失われていき、老化によるものとほとんど区別がつきません。
はじめは自分でも物忘れに気づきますが徐々に自覚が薄れ、探し物が増えていきます。
しかし、日常生活には支障はなく、こうした時期が23年、人によっては56年続き、ゆっくりと進行していきます。
 
中期になると、家計管理や、必要な物を必要なだけ買うといった買い物が難しくなり、その瞬間の出来事しか、判断できなくなります。
 
見当識障害が顕著になり、今日は何日か(時間)、今どこにいるか(場所)、目の前にいるのは誰か(人物)といったことがわからなくなっていきます。
 
日常の動作では、衣服の着脱ができない、家事の手順がわからない、家電製品が扱えない、駅で切符が買えない、トイレで排泄ができないなど、ふだんできていたことができなくなります。
徘徊などの問題行動が出てくるのもこの時期で、介助が必要になります。
こうした時期が23年続きます。
 
 後期は脳の萎縮がかなり進み、家族の顔がわからなくなったり、言葉でコミュニケーションがとれなくなります。
運動機能も低下して、しだいに歩けなくなります。
自分の身のまわりのこともできなくなって全面介助になり、寝たきりになることもあります。
認知症 治った!助かった! この方法 より」
 
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現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。

ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
また、食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働き、そして、ビタミンB群はバランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
生活習慣を変えるとともに栄養面の改善も非常に大切です。
 
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