腹八分目より少なく食べる―「習慣8」

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腹八分目より少なく食べる―「習慣8
 
忙しいとき、取材の合間に牛乳とクッキーを取り出して、「食事はそれだけなんですか」と驚かれたこともあります。
 
90歳を超える年齢になると、1日の摂取カロリーは1300キロカロリー程度で充分で、たとえ昼食を抜いても、それほど空腹感を感じることはありません。
 
仕事に熱中していて、食事を食べ忘れることは日常茶飯事です。
朝食にジュースとコーヒーを飲んで、そのあとは何も食べずに、気づいたら夜の10時をまわっていたということもよくあります。
 
人間は食べなければ元気が出ない、いい仕事ができないというのは、必ずしも正しくないように思います。
それは単にそんな気がするだけで、食べなくても、やる気と集中力さえあればがんばれるものです。
 
腹八分目という言葉があります。
満腹になる手前で食べるのをやめるのが、内臓への負担も少なくすみ、健康には良いということです。
 
この「腹八分目」を長いこと習慣としています。
90歳を越えた私の場合は、「八分」までもいかず、「六分」ぐらいでしょうか。
 
それがどのくらいの分量かというと、「空腹感が消えたな」と思うころが六分くらいではないでしょうか。
若い人なら、「もう少し食べたいな」と思うくらいです。
 
外食する場合は、必ず半分は残すようにしています。
とくに肉の脂身はさけ、最初から半分に切り分けて、残りの半分には手をつけないようにします。
年齢とエネルギー消費の量から考えると、それ以上は食べすぎで、全部食べると、余分なエネルギーを体にためこむことになってしまい、何となく体調がすぐれないように思います。
 
腹八分目より少なく食べる習慣には、もう一つ理由があります。
 
満腹というのは、文字どおり、おなかがいっぱいになった状態を表現した言葉と受け取られがちですが、ところが、本当はちょっと違うのです。
 
「おなかがいっぱい」と脳で感じたとき、私たちは、胃が100パーセント満たされたのだと認識します。
ところがこのときの胃の状態は100パーセントではなく、120パーセント満たされています。
 
つまり、脳で「おなかがいっぱい」と感じる前に、胃のほうはすでに飽和状態になっていて、脳で満腹を感じるころには、胃にはぎゅうばゅうに食べ物が詰めこまれていることになります。
 
そこまで食べてしまうと、体は食べ物を必死に消化しようと働かざるを得ず、頭にまで血液がまわりません。
眠くなったり、体がだるくなったりして、仕事どころではなくなってしまいます。
それでは困るわけです。
 
つねに満腹を感じるまで食べるのを習慣化しているとすれば、日々、肥満の原因をつくっていることになり、またそのときに胃にかかる負担は相当なものです。
 
「腹八分」が、ほぼ「腹十分」相当するものあることを知って、腹八分より手前でやめておくのが理想的といえます。
「生きるのが楽しくなる 15の習慣/日野原重明 より」
 
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ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
 
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
 
脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来します。
二本の神経線維で一単位となるその部分は「シナプス」と呼ばれます。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
 
ところが、年齢とともに、あるいは認知症などの病気によって、シナプスは次々にこわれていきます。
ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があるのです。
 
また、脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
一般にビタミンB類は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12B6葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。
 
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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