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自前の歯をもっている人はボケない
自前の歯の重要性が「アジア・オセアニア国際老年学会議」で発表されました。
この3つのグループの人たちで残っている歯の数を比較しました。
その結果、認知症がまったくない正常な人たちは平均で14.9本の自前の歯を持っていました。
健康な人ほど自前の歯をもっている本数が多いことがわかります。
認知症が疑われる人より健康な人は自前の歯を5本も多く持っていたのです。
口の中には、28本しか歯はありません(親知らずを除く)から、5本はかなりの違いといえるでしょう。
さらに、渡邉教授らは残っている歯の本数や噛みあわせることができる歯の本数と、MRIを使って脳の容積を調べ検討しました。
すると、残っている歯の本数の少ない人、噛みあわせることのできる歯の本数の少ない人ほど、記憶をつかさどる脳の海馬付近、意思や思考といった重要な機能を担う前頭葉などの容積が減っていました。
つまり、自前の歯の少ない人、そして噛むことができない人ほど、ボケやすいことがわかったのです。
歯周病などで歯を失っても、入れ歯をつくればいいと思っているでしょうが、自前の歯をもっていることがいかに重要かがこのレポートでよくわかります。
また、歯を失ったら、放っておかずにきちんと合った入れ歯をつくったほうがいい。
自前の歯で食べものを砕き、唾液を混ぜ合わせて消化管に送り込む。
歯のこの働きを通して、歯茎に刺激が与えられ、これが脳の活性化につながると思われます。
歯がなくなり、歯の周辺の神経が失われると、刺激が脳に伝わらなくなり、それが脳に悪影響を与えるのでは、と渡邉教授は述べています。
噛むという行動は手足を動かすより緻密で複雑なのだそうです。
確かに、口の中ではごく小さなものを感じ取りますし、それを取り除くこともできます。
噛むには、左右の顎の筋肉を伸ばしたり、縮めたりしなければなりません。
歯と脳の間には強力な神経のネットワークがあり、噛むことで脳の血流や代謝がよくなり、活性化するのです。
しゃべることもおぼつかなくなったのですが、よく噛むことで脳の血流がよくなるはずと、食べものを食べるときはもちろん、食べていないときもカチカチと歯を合わせていたところ、片側のマヒもよくなり、話すこともスムーズにできるようになりました。
ご自身の歯が残っていたことが幸いしましたが、噛むことがリハビリになったのです。
さあ、「よくよく噛めよ」を実践しましょう。
「100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
あきらめずにチャレンジし続ければ、復活の日はいつか訪れるかもしれません。
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