「キレる老人」は認知症の可能性大

イメージ 1
「キレる老人」は認知症の可能性大
 
 駅や町中で怒声をあげている高齢者や、店員さんに突然怒り出す、いわゆる「キレる老人」を目にすることがあります。
以前は穏やかだったのに、最近やけに怒りっぽくなった、という急な性格の変化は注意が必要です。
それは認知症の可能性が大きいからです。
 
認知症の症状は、「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つに分けられます。
 
中核症状は脳の神経細胞が障害されたことによって直接起こる症状で、これは認知機能が低下した人であれば誰にでも出現する症候群です。
具体的には、
 
〔記憶障害〕
さっき聞いたことが思い出せない。覚えていたはずの記憶が失われる、新しいことが覚えられない。
見当識障害〕
時間、季節、場所、人物などがわからない。今日の日付が出てこなかったり、通い慣れた場所へ行けなくなったり、知っているはずの人を見ても誰だか思い出せなくなる。
〔理解・判断力の障害〕
考えるスピードが遅くなる。一度に処理できる情報量が減るため、同時に2つのことができなくなる。いつもと違う出来事(例えば葬式など)で、混乱しやすくなる。
〔実行機能障害〕
段取りや計画が立てられない。家電や自動販売機などが使いこなせない。
〔失認〕
「聞く・話す・読む・書く」ができない。他人の話すことは理解できても、自分のいいたいことをうまく話せない「運動失語」、相手の話が理解できない「感覚失語」、物の名前などが思い出せない「呼称障害」などがみられる。
〔失行〕
服の着方を忘れて洋服が着替えられなくなる、箸の使い方がわからなくなるなど、それまでできていたことができなくなる。
 
一方、行動・心理症状は、中核症状の状態、本人の性格、身体状況、生活環境、人間関係などによって左右される症状で、そのあらわれ方は人によって異なります。
なかにはほとんどでない人もいますし、ある症状が極端に強い人もいます。
 
行動症状(行動異常)は、
・暴言、暴力
・焦燥
・叫声
・介護抵抗
・食行動異常(過食、異食、拒食)
・徘徊
・失禁、不潔行為
・つきまとい
・仮性作業(意味のない動作を繰り返す)
・暮れ症候群(夕方になると落ち着かなくなったり、何度も同じことをくり返したり、「家に帰る」と帰り支度をしたりする)など。
 
心理症状は、
・妄想(物盗られ妄想、嫉妬妄想、被害妄想など)
・幻覚(幻視、幻聴)
・不眠
抑うつ、不安
・無為、無反応
・易怒性(怒りっぽくて、すぐにイライラする)
などがあげられます。
「薬いらずで認知症は防げる、治せる より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
 脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。
ドーパミン、GABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
 
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
 
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
 
レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
 
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
ビタミンB12は細胞の生成に重要な核酸たんぱく質、認知機能と関係が深い栄養素です。
さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
 
ちょっと使える身近な情報をお届けしています!