睡眠とアルツハイマー病
睡眠とアルツハイマー病
睡眠と認知症(アルツハイマー病を含む)の関係を調べた多くの論文を再解析した2017年の総説では、睡眠不足の人は認知症になる危険度が68%上がり、アルツハイマー病になる人の15%は睡眠に関する問題を抱えた人だと述べています。
ただ、アルツハイマー病は長い年月をかけて発症するので、睡眠不足でアルツハイマー病になったのかアルツハイマー病を発症したので睡眠不足になったのかについて結論を下せるような論文はなかったそうです。
この点がアルツハイマー病研究の泣きどころです。
アルツハイマー病の初期の患者が発見できれば、そこに至るまでの運動、食事、睡眠などの生活習慣を調べて、望ましい生活をアドバイスすることや、その進行を抑える薬のテストができるのです。
しかし現実は、アルツハイマー病に気づいた時点ですでに症状が進行してしまっていて、それまでの生活のなかで何が問題だったのか、あるいは発症を遅らせるにはどのような薬が効くかを調べられないのです。
アミロイド斑がアルツハイマー病の原因であるかどうかもまだ不確かなので、本当に睡眠不足でアルツハイマー病になる危険性が上がるかどうかは分かりません。
しかし、歳をとると、筋力が低下して身体のバランスをとることが難しくなり、転びやすくなります。
高齢者の転倒が怖いのは、骨折などで身体を動かせなくなると脳の老化が進んでしまうからです。
思わぬところで転倒し、大腿骨を骨折したため長期にわたって寝たきりになり、ボケてしまったという話をよく聞きます。
高齢者の平衡感覚は、若者に比べ睡眠不足による影響を受けやすいことが分かっているので、睡眠を十分にとり、できるだけ転倒しないように気をつけるべきです。
歳をとると眠っている時間が短くなるのですが、睡眠不足にはならないようにしましょう。
よく眠るために
よく眠るためには毎日適度な運動をして昼間身体を覚醒させておくことが重要です。
次に寝室の温度、明るさ、騒音に問題がないか考えましょう。
家電製品からの光などによって睡眠が乱されている可能性もあります。
マットレスの硬さや枕を替えてみるのも良いでしょう。
寝る直前にコーヒーなどの刺激物を飲むのはいけません。
カフェインには覚せい作用があるからです。
アルコールも少量だと覚せい作用がありますから軽い寝酒というのは逆効果です。
ほとんどのドリンク剤にはカフェインだけでなく少量のアルコールが入っています。
どちらも覚せい作用があるからです。
よく眠るためにはお酒を飲むのはやめた方が良いでしょう。
「老化と脳科学 より」
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)と核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若返りにもつながることにもなります。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステインや活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に大切な栄養素です。
ビタミンB12は、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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