タンパク質は、アミノ酸でできたひもをぐしゃぐしゃにしたもの
言葉としては見聞きするタンパク質ですが、その形は知らない人が多いのではないでしょうか?
まず、タンパク質のサイズは、体の細胞がおよそ10~30マイクロメートル(1マイクロメートルは1/1000ミリメートル)なのに対し、数ナノメートル(1ナノメートルは1/1000マイクロメートル)と小さく、長年、その形は理論的に推測するしかありませんでした。
しかし、19世紀に確立された特殊な方法でタンパク質を観察すると“ひも”のようなものが立体的に折れ曲がった形をしていることが分かったのです。
この形状には、タンパク質の機能の秘密が隠されています。
そして、この“ひも”を構成するのが、タンパク質を分解した最後の姿として登場する「アミノ酸」です。
タンパク質はアミノ酸が60~数百万個つながったものなのです。
人体をつくるタンパク質は5~10万種といわれますが、構成単位となるアミノ酸はたった20種。
これらは、体内でつくれないので食品からとる必要がある9種の「必須アミノ酸」と、体内でつくれる11種の「非必須アミノ酸」に分類されます。
タンパク質摂取の際に注意したい「必須アミノ酸スコア」
「アミノ酸スコア」とは、タンパク質のバランスの良さの指標
アミノ酸スコアとは、栄養学的に定められた基準値に対する、ある食品の含有必須アミノ酸の割合のなかで、もっとも低い数値。
というのも、タンパク質の合成には9種すべてが必要なため、最低の数値がタンパク質の合成量になるため。
要するに、アミノ酸スコアが高いほど、優秀なタンパク質といえるのです。
※必須アミノ酸9種
バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、トレオニン、リジン、ヒスチジン
食品のアミノ酸スコア
アミノ酸スコアの最高値である100を示す食品と、アミノ酸スコアの低い食材を紹介します。
★アミノ酸スコアの「高い(100)食品」
・牛肉……タンパク質やビタミンB群のほか、鉄もたっぷり。
(ヒレ肉でタンパク質を20g摂るなら約97g)
・豚肉……タンパク質のほか、疲労回復の効果があるビタミンB群が豊富。
(ばら肉でタンパク質を20g摂るなら約139g)
・鶏肉……肉類の中でも高タンパク低脂質。ビタミンAやビタミンB群も。
(むね肉でタンパク質を20g摂るなら約94g)
・鶏卵……ビタミンC、食物繊維以外のすべての栄養を含む完全栄養食品。
(鶏卵1個にはタンパク質が約6.8gも!)
・魚(さけ・あじ・さば・いわし・たら・まぐろなど)……健康に重要な不飽和脂肪酸という脂質がたくさん含まれています。
(さけでタンパク質を20g摂るなら約89g)
・牛乳・乳製品
・大豆・大豆製品
★アミノ酸スコアの「低い食品」
・小麦粉(薄力粉)……56
・ピーナッツ……87
・アーモンド……78
・うどん……51
・コーンフレーク……22
・くるみ……71
・日本梨……69
「新しいタンパク質の教科書 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
また、脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。
ドーパミン、GABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が「卵黄」です。
なお、レシチンをアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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