後期高齢者でも、体は確実に変わる!
73~90歳の女性を2つのグループに分けて、一方には足の筋力やバランス能力、歩行能力を伸ばすための運動指導を行い、もう一方には以前と同じ生活を送ってもらって、転倒率を比較しました。
研究に参加した時点で、それまでに転倒したことのある人の割合はどちらのグループも約15パーセントでほぼ同じでした。
それが8ヵ月たつと、運動しなかったグループは全体の41パーセントが転倒を経験し、1年8ヵ月後にはこの数字が55パーセントにのぼったのに対し、運動指導を受けたグループの転倒率は変わりませんでした。
これとは別に、研究者らは、尿もれに悩む70歳以上の女性を対象に、骨盤の底にある筋肉をきたえ、内臓脂肪を減らすための運動指導を行いました。
なぜ内臓脂肪が出てくるかというと、お腹に内臓脂肪がぎっしりつくと、膀胱を上から圧迫して尿をしっかりためられなくなるからです。
指導開始から3ヵ月後に調査したところ、運動しなかったグループで尿もれ症状が消えていたのは9.4パーセントだけでしたが、運動したグループは54.5パーセントで尿もれが治っていました。
高齢者にも回復力はしっかり残っているのです。
海外の研究結果はもっとすごくて、91~96歳の高齢者に、12週間にわたって週に2日、特別な運動プログラムに参加してもらったところ、筋肉が太くなって筋力が高まり、転倒しにくくなったことが示されています。
若いころから運動して筋肉を太く、強くしておき、高齢になっても運動を続けることで筋力を長く維持するのが理想ではありますが、適切なトレーニングを行えば、後期高齢者でも筋肉を強化できます。
ただし、自己流ではなく、知識と経験を持つ専門家の指導を一度は受けるのが大切です。
最近は病院や老人保健施設、そして市役所などの自治体が高齢者のための運動教室を開催するようになっています。
ホームページ、市政だよりなどで探してみてください。
「「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣 より」
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ビタミンB群が不足するとエネルギーを生み出すことができず、疲れがなかなか回復しなくなったり、細胞の修復機能がダウンして、肌荒れや口内炎が治りにくくなったりするのです。
なかでも注目が、ビタミンB12です。
古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
また、ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
現在60歳以上の2割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
ビタミンB12は胃の内因子という糖たんばくと結合し吸収されますが、年齢とともに胃が小さくなったり胃の状態が悪くなったりして、内因子が
少なくなりビタミンB12の吸収が悪くなってしまうのです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
萎縮性胃炎など胃の病気などで内因子が作れない場合も吸収が困難になります。
しかし、ビタミンB12は大量に摂ることで浸透圧の原理による押し込み効果によって胃の内因子と関係なく吸収されることが分かっています。
吸収率を高めるビタミンB12摂取量の目安は1000μg(マイクログラム)以上と考えられています。
最近では、ケタ違いに大量のビタミンB12を摂取することで、脳神経系にさまざまな効果が認められることがわかってきました。
脳神経系への積極的な作用を期待するには、1日に3000μg(マイクログラム)をとるよう提唱しています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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