「快眠脳」プログラム8.就寝2時間前にぬるめのお風呂に入る
人はなぜお風呂に入るのでしょうか。
体の汚れを洗い流すだけなら、シャワーでも十分です。
ところが日本人の多くは、お風呂に入る習慣を昔から続けています。
その理由は、リラックスして、よい睡眠が取れるからです。
このことを脳科学の見地から考えてみましょう、
人間の体温は、ほぼ36.5度に維持されています。
これは、人間の体に備わっている自律機能により、無意識のうちに自動制御されています。
脳の深部にある「視床下部」に体温中枢が存在し、その深部体温が上がると発汗して放熱し、下がると筋肉をふるわせて産熱をうながします。
このように視床下部は体温を一定に制御しているのです。
それによって全身の細胞は常時、安定して働けるようになっています。
ただし、まったく一定というわけではなく、0.5度ぐらいの幅で変動しています。
睡眠中には低くなり、日中の活動中には高くなるように調節しています。
さて、そのように無意識の体温調節を行う人間にとって、入浴は、自分の意志で体温を変動させる行為、自動制御をあえて“乱す”ための営みともいえるものです。
お風呂の温度は、高すぎても低すぎても、体へのストレスになります。
40度前後が最適とされます。
心地よいぬるめのお湯に、疲れない程度の10~15分ぐらいの入浴をするのがいいとされています。
その間、体に何が起こっているのかというと、お湯の温度は体温よりも少し高いので、皮膚の血管が拡張して血流が促進されます。
すると各細胞から老廃物が洗い流されていきます。
また水圧が少しかかるので、皮膚だけでなく体の深部でも血流が促進されて、全身から老廃物が洗い流されていきます。
そして体温が上がってくると、体温中枢が作動して、体温を下げるために発汗をうながします。
頭や顔から汗が出てきたら、湯船から出るサインです。
このように全身の細胞をリフレッシュさせるのが脳科学的な入浴の意義です。
シャワーは皮膚の表面をきれいにはしてくれますが、細胞をリフレッシュさせてはくれません。
さて、快眠のためには、お風呂を出てからが重要なポイントです。
お風呂から出て、体の深部体温が下がることで脳が休息状態になっていくので、上手にクールダウンをする必要があります。
徐々に体温を下げるように配慮し、血圧も心拍も自然に下げ、「交感神経」から「副交感神経」に切り替わる状態に持っていきます。
自律神経が覚醒の交感神経から休息の副交感神経に切り替わると、消化機能が活性化されます。
よく、帰宅後はお風呂が先がいいのか、夕食が先がいいのかといわれますが、時間に余裕があるときには、お風呂を先にして、そのあとで夕食を取るほうが、スムーズな交感神経→副交感神経の切り替えになります。
時間的にあまり余裕がない場合には、夕食を取ってから、シャワーで汗を流し、就寝という生活パターンになりますが、この場合、自律神経の切り替えがスムーズにいかない可能性があります。
入眠に苦労されている人は、お風呂を先にしてみたらいかがでしょう。
ミルクを飲むのも入眠に効果的です。
ミルクにはメラトニンの材料である「トリプトファン」が豊富にふくまれているので、その点でも効果があります。
アルコール飲酒は、脳神経全体を鎮静化させますから、昔から、百薬の長といわれて推奨されてきました。
しかし、いうまでもなく深酒は健康を害するのでNGです。
「医者が教える疲れない人の脳 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると、動脈硬化の原因として注目されているホモシステインが増えるといわれています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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