◆厚着をするとインフルエンザにかかりやすい!?
健康情報を選別するとき、相関関係と因果関係とは必ずしも同じでないことを認識しておかなければなりません。
AとBが相関していることは、必ずしもAがBの原因であることにはならないからです。
分かりやすい例で示しましょう。
冬になると厚着になります。
また、インフルエンザは冬に流行します。
統計をとると必ず、人は厚着をしているときほどインフルエンザにかかりやすいことになります。
しかし、厚着はインフルエンザの原因ではありません。
この場合は、「冬」という共通する因子が二つの因子を単に結び付けているだけで、もちろんこれらに因果関係はありません。
ただの相関関係を因果関係とはき違えると、大変なことが起こります。
この例でいうと、厚着がインフルエンザの原因であると誤って判断することになり、インフルエンザを予防したい一心で、真冬に薄着になるという暴挙に出てしまうことになるからです。
この話は、とても分かりやすい事例なので、そのような間違いをしでかすことはありませんが、一見それらしいと、単なる相関関係にすぎないのに前者が後者の原因であるかのように思えてしまうことがあります。
これを、「前後即位因果の誤謬(ごびゅう)」といいます。
これも、ヒューリスティックのひとつです。
要するに、人間はとても賢いのですが、おっちょこちょいで、論理的ではないのです。
ついでにいえば、ある情報を見聞きしたとき、興味を引かれたら、必ずその情報の大元、すなわち出典を調べてみてください。
インターネットに書かれた情報は、出典が明らかでないものも多いですし、間違って引用され、そのままコピペされ続けているものも多くあります。
「老けない人は何が違うのか より」
※ヒューリスティック(heuristic)とは、「発見的手法」という意味の心理学用語で、必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に、ある程度正解に近い答えを得ることができる思考法です。
例えば、信号が青のうちに横断歩道を渡りきれるかどうか、人は歩数や速度などから緻密に検証しなくても、慣れた動作で自然に渡れば間に合うと判断し、そのまま渡ります。
このように、普段の行動の裏にはヒューリスティックによる思考が無意識のうちに行われています。
ヒューリスティックによって素早い意思決定が可能となりますが、判断結果には一定の偏り(認知バイアス)を含んでいることがあるため、注意が必要です。
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今から60余年前、アメリカの月刊誌『リーダーズダイジェスト』は、“赤いビタミン(ビタミンB12)が悪性貧血の患者を救う特効薬だ”と報じてセンセーショナルな話題を提供しました。
以来、“ビタミンB12”は、世界的に研究者の注目を集め、それに関連した研究にはいくつものノーベル賞が与えられてきました。
そして今では、ビタミンB12は、悪性貧血のみならず神経や免疫系にも効果があることが明らかになり、うつや認知症の予防等に利用されています。
食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
胃の病気、ストレスなどでも不足します。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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