◆食事に関する指針づくりの難しさ
意外に思われるかもしれませんが、ある栄養素、例えば、糖をどのくらい過剰にとったら体によくないのか、白黒つけるのはとても難しいことです。
患者を二群に分けた長期にわたる無作為化試験を実施すること自体、困難ですし(実際、1年以上の研究はほとんど行われていない)、研究対象となる栄養素(例えば、糖)以外の他の栄養素の摂取量を全てそろえることも現実的には厳しいからです。
また、仮にそのような試験的研究が実施され、ある結果が導かれたとしても、それが実社会を反映したデータかどうかは分かりません。
なぜなら、多くの人は、ある物をとらないようにすれば、別の物を多くとるようになり、それが原因で健康を害してしまう可能性もあるからです。
そのため、栄養素に関する指針は、主として観察研究のデータを中心にまとめられています。
つまり、ある栄養素を多くとっている人たちを長期にわたって観察し、そうでない人たちと比べることで、その栄養素の過剰摂取の弊害を見ていくわけです。
しかし、この研究方法にも大きな落とし穴があります。
それは、ある嗜好習慣を持つ人たちが、別の生活習慣も同時に併せ持つ可能性があるからです。
例えば、糖を多くとる傾向にある人は、そうでない人より、食べ過ぎ、運動不足の嫌いがあり、ストレスが多く、朝ご飯を食べない割合が高いかもしれません。
このような場合、観察研究で得られた結果が、糖をとりすぎたことによるものなのか、他の生活習慣の悪影響を受けたものなのか、結論がつけられなくなります。
こういった事情を踏まえ、あるアメリカの医師は、「体に悪い物などない。ただ、食べすぎなければいいのだ。エビデンスがないのに、みんなが騒ぎすぎている」と訴えます。
ほとんどが動物実験のデータで、人のデータも先に述べた理由から医学的に厳密性に欠けると主張するわけです。
しかし、この考えに与しません。
そんなことをいったら、永遠に食事に対する指針など一切、出せるはずもないからです。
動物実験のデータもメカニズムを考える上でとても貴重な資料となりますし、そもそも完璧なデータがそろっていなくとも、最善策を練ることはできるはずです。
また、そのための努力を惜しむべきではないでしょう。
ここで、一般的にどのようなプロセスを経て指針がつくられていくかも簡単に触れてみたいと思います。
まず、試験管や動物実験で、ある栄養素や成分が病気を引き起こす可能性が高いかどうか、また、高いとすれば、どのようなメカニズムでその病気が引き起こされるのかが検討されます。
次いで、この栄養素や成分が、実際に私たちが口にする程度の量でも、健康被害をもたらすかどうか臨床試験が行われます。
長期間にわたる無作為化試験が一番好ましいのですが、多くの場合は得られた観察研究の結果をまとめて再解析し、データを総合的に判断して、基準が設けられます。
つまり、動物にあり得ないほどの量を食べさせた実験結果や、たった一つの質の悪い臨床研究の結果で基準が設定されているわけではないこと、動物も含めた多くのデータに裏付けられて指針が設定されていることを、ぜひ、知って頂きたいと思います。
「老けない人は何が違うのか より」
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各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称して「ビタミンB群」と呼んでいます。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
ビタミンB12は水溶性と脂溶性という特徴を併せ持つため体の隅々にまでいきわたりさまざまな働きをします。
細胞の生成にとって重要な核酸(DNA)・たんぱく質の合成や末梢神経(手足)、 中枢神経(頭)、認知機能に関わりがあるため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
細胞が入れ替わることにより若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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