第3章 あなたの脳の老化度がすぐわかる方法2
脳の老化状態をすぐ診断できるもうひとつの方法があります。
「片足立ち診断法」です。
簡単な方法なので、ぜひ自分の状態を知るために、こちらもやってみてください。
▼診断方法
その場で立ち上がり、目を閉じた状態で片足立ちをしてください。
何秒間、片足で立っていられるかを計ってください。
※転倒の危険もあるので、くれぐれも無理のないように、またできるだけ周りに障害物や物がない場所でやってください。
たったこれだけで、診断できます。
どうですか?
何秒間できましたか?
目安は30秒です。
目を閉じて30秒以上片足で立っていられれば、脳はまだまだ若い状態です。
逆に30秒未満の人は老人脳が進んでいます。
目を閉じた状態での片足立ち時間はこんな目安です。
・平均58.8秒→脳年齢30代
・平均32.9秒→脳年齢40代
・平均23.7秒→脳年齢50代
・平均9.4秒→脳年齢60代
・平均4.58秒→脳年齢70代
・平均2.9秒→脳年齢80代
(国立長寿医療研究センターによる年代別平均値 *30代については、個別に50名の平均値を算出)
これは言ってみれば脳年齢と逆比例の関係にあるということのようです。
たとえば、4.5秒の人は脳年齢が70代、32.9秒であれば脳年齢は40代といった感じです。
実年齢が80代でも脳年齢は50代という人もいますし、その逆の人もいます。
まずは、自分の脳の状態を把握してみてください。
また、両目を開いたままで片足立ちをして、20秒以上続けられない場合は、小さな脳出血を発症している「無症候性ラクナ梗塞」などの可能性があるので、注意が必要です。
目を開けたまま片足立ちをした場合は長くできる人でも、目を閉じたとたんにできなくなる人がいます。
こういう人も、残念ながら老人脳が進んでいます。
平衡感覚は、目を開けているときは視覚野でバランスを取ろうとします。
その視覚野を完全に遮断すると、視覚情報ではなく「本当のバランス感覚」で立とうとします。
この「本当の身体のバランス感覚」が脳の状態と比例しているのです。
ですから、まずは自己診断をしてもらい、脳の状態を確認してください。
もし目を閉じて30秒以上片足で立っていられなくても、30秒以上立てるようにトレーニングをしていくことで、脳の鍛えることができます。
トレーニングは、次の方法をくり返しやっていくことです。
目を閉じても30秒以上立てるようになるまで、毎日何回かトレーニングをしてください。
すると、だんだん慣れていき、片足で立てる時間が長くなっていくはずです。
実はこれはコーディネーション運動のひとつ、脳にいい運動なのです。
ちなみにこの片足立ちは、単に筋力の問題ではありません。
筋力も関係はしていますが、筋力以外の能力も多く関わっています。
もし筋力だけの問題であれば、目を開いていても閉じていても、立っていられるのは同じ時間になるはずですよね。
片足立ちの練習は、短時間でも効果が期待できます。
バランス能力は生活をしていく上でもとても大切な能力で、自立して生活を送れるかどうかにも影響してきます。
ある研究では、バランス能力の高い人は14年後も自立した生活を送るスキルが高いという結果が出ています。
また女性は特に早く歩ける人ほど自立した生活を送りやすく、バランス能力が低いほど自立した生活を送れなくなることがわかっています。
片足立ちは転倒防止効果もあります。
片足立ちが目を開けて30秒できる人を調べたところ、直近1年間で転倒した人が誰もいなかったという研究結果もあるくらいです。
また、目を開けた状態で片足立ち能力が高い人はひざの関節の可動域が大きく、歩くときにしっかりと歩くことができるそうです。
目を開けて片足立ちができることは、死亡率とも関係しています。
4つの身体機能が低い人ほど死亡率が高いというデータがあるのです。
この4つとは、「目を開けたままの片足立ち」「握力」「歩く速度」「椅子から立ち上がる時間」です。
目を開けたままの片足立ちが30~90秒だと死亡率が1.12倍、30秒以下だと3.75倍に高まります。
握力が弱いと死亡率が1.67倍高まり、歩く速度が遅いと死亡率が2.87倍になり、椅子からの立ち上がりが遅いと死亡率が2倍となってしまいます。
また、目を開けて片足で立てても、両足に時間差が10秒以上あると、ロコモティブシンドロームといって、移動する能力が低下してしまうリスクが高まることもわかっています。
片足立ちができるようになれば、想像以上に健康効果が期待できるのです。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?