質のよい睡眠をもたらす「メラトニン」の効用
ストレスに負けない心身をつくるために、もう1つ大切なホルモンがメラトニンです。
メラトニンが睡眠にかかわる物質だということは、耳にしたことがあるかもしれません。
そして、ストレス解消と睡眠には深い関係があることは、経験的におわかりと思います。
ひどくイヤなことがあっても、ぐっすりと一晩眠ることで、翌朝にはすっかり気分がよくなったという体験は誰にもあることでしょう。
質のよい睡眠をとることができれば、ある程度のストレスは十分に消すことができるのです。
では、質のよい睡眠をとるにはどうしたらよいでしょうか。
実は、それに深くかかわっているのが、メラトニンというホルモンです。
メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれているように、これが脳内の松果体から分泌されると、私たちはぐっすり眠ることができます。
そして、興味深いことに、メラトニンをつくる原料となるのがセロトニンなのです。
質のよい睡眠をとるには、昼間セロトニンがたくさん出る生活をして、メラトニンの原料をしっかり蓄える生活をすることが不可欠です。
メラトニンが正常に分泌されないと、眠りの指令を出すことができないので、夜になっても眠くなりません。
お風呂に入って布団にくるまることで自然に眠れるというわけではなく、そこにはメラトニンというホルモンが関わっているのです。
このように、ハッピーホルモンであるセロトニンとオキシトシン、それに加えてメラトニンの3つは、それぞれが密接に関係を持ちつつ、私たちがストレス社会を生きていくうえで、大切な3本柱となっているのです。
脳科科学的に見た「新しい生活様式」の問題点
これまで私たちが過ごしてきた現代社会というものは、多くの人が都会に密集し、お互いに密接にコミュニケションをとることで大きな進歩を遂げてきました。
人々は密閉された部屋の中に閉じこもることで、温度も湿度も人工的にコントロールでき、効率よく仕事できたわけです。
そう考えてみると、都会生活というのは、「密閉・密集・密接」という、いわゆる「三密」によって成り立っていたともいえます。
三密が私たちの現代生活を特徴づけていたのです。
ところが、人間にとって効率のいい町は、ウイルスにとっても感染を広げるのに都合のよい場所でした。
三密は、新型コロナが広がる願ってもない条件となってしまったのです。
そこで、新型コロナの対策として打ち出されたのが三密を回避することでした。
通勤や通学はなるべく避け、ソーシャルディスタンスを守り、自宅からテレワークを行ったり、オンライン授業に参加したりするなどの「新しい生活様式」です。
では、新型コロナが終息したら、もとの生活に戻ることができるのでしょうか。
ウイルスが完全に消えるということは考えられませんし、たとえ新型コロナが終息したとしても、いずれまた別の感染症が登場することでしょう。
となると、三密を避けたひきこもり生活は、程度の違いはあるにせよ、今後も続ける必要があるということです。
しかし、ひきこもり生活というのは、運動不足や外部とのコミュニケーション不足になるだけでなく、生活のリズムも乱れがちです。
ハッピーホルモンであるセロトニンやオキシトシンが分泌されにくい生活環境といってよいでしょう。
つまり「ストレスに弱い脳」になってしまう恐れがあるのです。
もちろん、新しい生活様式にはメリットもたくさんありますので、大いに取り入れるべきだと思っています。
仕事の種類にもよりますが、毎朝の通勤電車で時間や体力を消耗することなく、自然環境のよい場所に住んでテレワークをするという生活は、今後増えていくことでしょう。
ただし、1つ間違えると、ハッピーホルモンが不足してしまうというデメリットがあることを忘れてはいけません。
そんなことがないよう、新しい生活様式のもとでも「ストレスフリーな脳」をつくることを意識して、ハッピーホルモンをたっぷり分泌させることを心がけてほしいと思います。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?