ストレスに強い人は、眠りも深い
イヤなことがあっても、一晩経てばケロリと忘れてしまう人がいます。
夜ぐっすり眠れること――これもセロトニン神経に深く関係しています。
セロトニンは昼間の活動だけでなく、夜の睡眠にも大きな影響を与えているのです。
「でも、セロトニンが分泌されるのは、起きているときだけのはずでは?」
そう、それは事実です。
しかし、昼間に太陽の光をたっぷり浴び、リズム運動をして、スキンシップがあれば、夜もぐっすり眠れるのです。
こうしたことは、経験的になんとなく理解できるかもしれませんが、現在ではこれが医学・生理学的にも証明されています。
そもそも、どうして私たちは眠ることができるのでしょうか。
実は、それに深くかかわっているのがメラトニンというホルモンです。
メラトニンが「睡眠ホルモン」とも呼ばれているように、これが脳から分泌されると、私たちはぐっすり眠ることができます。
そして、興味深いことに、メラトニンをつくる原料となるのがセロトニンなのです。
質のよい睡眠をとるには、昼間セロトニンがたくさん出る生活をして、メラトニンの原料をしっかり蓄える生活をすることが不可欠だとおわかりいただけるでしょう。
昼間、セロトニンがたっぷり出ている人は、夜もすっきり寝入ることができ、深く眠ることができます。
外で元気に遊んでいた子どもが、寝床に入ったとたんにコテンと寝てしまうのもそれが理由です。
そして、質のよい睡眠がとれれば、朝の目覚めもいいものとなります。
朝の目覚めがよければ、日中はセロトニン神経を活性化する生活ができる。
こうして、どんどんいい循環になっていきます。
「ストレスフリーな脳」を手に入れるには、セロトニン、オキシトシンというハッピーホルモンに加えて、メラトニンがたっぷり分泌される生活が大切だということがおわかりでしょう。
メラトニンは、私たちが自前で持っている睡眠薬のような存在です。
メラトニンが正常に分泌されないと眠りの指令を出すことができないので、夜になっても眠くなりません。
お風呂に入って布団にくるまることで自然に眠れるというわけではなく、そこにはメラトニンというホルモンがかかわっているのです。
メラトニンが分泌されるのは、脳にある松果体という豆粒ほどの器官です。
メラトニンはおもしろい性質を持っていて、日が沈むとセロトニンから合成が始まります。
ただし、合成されただけで分泌されなければ眠れません。
電気を消すか、目を閉じるかによって、目から光の信号が完全に遮断されると、松果体はメラトニンの分泌をはじめるのです。
これが脳から睡眠薬がどんどん出ている状態です。
そして、午前2時を過ぎると、徐々にメラトニンの分泌は少なくなり、朝の光が差し込んでくると、それがメラトニンの合成と分泌を止める合図になります。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
脳を酷使するときにも、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?