ダルマの片目は、社会を見通す「心の目」
大願成就を祈るダルマには、最初に目を書き入れます。
「ストレスフリー」とは、ストレスのなかで手も使わず足も使わず、倒れても確実に起き上がってくるようなありようだと述べました。
そのときに大切なのは、ダルマのように片目はつねに見開いていることだと思うのです。
会社での人間関係、家庭内のトラブル、社会の矛盾など、私たちを襲ってくるストレスに対して、けっして目をつぶることもそらすこともない、カッと目を見開いて事の本質や人間の本心を見通す目を養うことが重要です。
そう考えると、この目はもちろんものを見る目ではありますが、同時に「心の目」を表しているように思えてきます。
では、事の本質や人の本心を見通す「心の目」とは、具体的に何を指しているのでしょうか。
それは、相手の気持ちや考えを読み取る心です。
私たちには、ことばを使わなくても他人とコミュニケーションをする能力が備わっています。
たとえば、相手のちょっとしたしぐさや目つき、視線などを観察することで、私たちはその人の心の動きや考えを、かなりの程度知ることができます。
こうした能力こそが、「心の目」なのです。
そして、この能力を兼ね備えているからこそ、私たちは他者と共感することが可能になるわけです。
逆にいえば、「心の目」を社会に向けて開いていないと、他人の気持ちや心を推し量ることができません。
自分勝手な行動に走ったり、自分の殻に閉じこもってしまう結果になりがちです。
つまり、あの片目を見開いているダルマの姿というのは、社会とのコミュニケーションを図り、共感する力を象徴していると思えるのです。
外界に向けて目をしっかり見開きながら、それでも戦わず、逃げずにいるという状態は、まさに「ストレスフリー」な生き方を体現しているのではないでしょうか
大願成就で目を書き入れる意味
大願が成就すると、ダルマのもう片方の目に目玉が入ります。
ここに至るまでの過程は、人の生き方をよく示していると思います。
信念を持ち続け、困難や障害に遭っても「七転び八起き」でやっていくと、最後には願いが叶う――そんな象徴として、私たちは願をかけて、神棚や目立つ場所にダルマを飾るわけです。
願いというのは人によって、お金持ちになりたい、いい成績をとりたい、美しくなりたい、試合に勝ちたいなど、さまざまでしょう。
そうした夢や希望を描いて、私たちは努力を積み重ねます。
そして、努力が実を結んで希望が叶い、お金持ちになったり試合に勝ったりといった報酬がもたらされると、それに合わせてもう片方の目が開かれるわけです。
そうしてみると、願い事が叶ったときに入れる片目は、「生きる目標」の象徴と呼んでいいでしょう。
報酬のために努力する――もちろん、これは私たちの人生において欠かせない要素です。
誰もが夢や希望を持っているからこそ、それを目指して努力できるからです。
ただ、そうした夢や希望だけを目標に生きていると、思わぬ落とし穴が待ち構えています。
今やいくらがんばっても、給料も地位もなかなか上がりません。
むしろ、給料や地位が下がることもあれば、下手をすればリストラされることだってあります。
現代の日本のような時代では、出世やお金持ちになることを人生の目標としている限り、幸せになることは不可能なのです。
さらに、過去に例を見ないような自然災害が頻発するようになりましたし、新型コロナが世界的に流行して感染症の恐ろしさも実感しました。
実際に、昨日まで賑わっていた店が一夜にして客足が途絶えたり、好景気に沸いていた業種が突如落ち込んだりという事例を私たちは目の当たりにしました。
世の中の不確実性はさらに増すばかりです。
では、そんな時代には、何を人生の指針とすればよいのでしょうか。
その答えも、実はダルマが用意してくれています。
ヒントは、願いが叶ってから開く目ではなく、ずっと見開いている目にあります。
現代の世の中において本当に大切なのは、しゃにむに個人的な目標を実現しようと邁進することではなく、社会に目を開き、他者と共感しながら生きていくことなのです。
今の時代で幸せな人生を求めようとするなら、他者とのコミュニケーションを大切にして、何よりも共感する力を磨くことです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?