第4章 前を歩いている人を追い越してみる
第4章 前を歩いている人を追い越してみる
歩くのが遅い人は、要介護になりやすい
人間総合科学大学の熊谷修先生は、「町で歩いているときに前の人を追い越せるかどうかで筋力を計れる」と発表しています。
そして、「前の人をなかなか追い越せない場合は、歩行能力の予備力が枯渇し始めている証拠」としています。
歩く力が衰えてくると、「普段、歩く速さ」と「急いで歩く速さ」の差が小さくなるのだそうです。
さらに、先生は65歳以上の人を「急いで歩く速さ」で、「速い」「中くらい」「遅い」の3つのグループに分けて健康状態を追加調査しました。
その結果、「遅い」グループの人は要介護になるリスクが高かった、としています。
歩く力は、足の筋肉の強さが大きくかかわります。
特に、ふくらはぎ、大腿四頭筋、ハムストリングは大きくて重要な筋肉です。
すでに紹介した「吊り革で爪先立ち」「座るスクワット」などを再度、おすすめします。
筋肉は、知らないうちに衰えている
筋肉量とは、体重のなかで筋肉が占めている重さの割合です。
20代の男性が44%であるのに対し、50代で約4分の3になり、70代では半分近くにまで減少します。
筋肉の衰えが要介護になる一因というのもうなずけます。
運動をまったくしない人はもっと減少しているかもしれません。
「久しぶりにキャッチポールをしたらボールが遠くまで投げられなかった」「サッカーボールを蹴ってもボールが飛ばなかった」など苦い経験がある人もいるでしょう。
筋肉は知らず知らずのうちに減っているのです。
筋肉減少=血管力の減少
筋肉が働くためには、たくさんの酸素と栄養素が必要です。
そのため、筋肉には毛細血管が広く入り込んでいます。
もし、筋肉が減少すると、血管も減ることになります。
健康な血管のシステムとは、勢いよく血液が体の隅々まで流れる状態です。
血管が減っていくということは、血管力が衰えることにつながります。
※特にNOを多く発生させるのが、力を入れて急に緩める運動であることがわかってきました。
そこで、特におすすめしているのが、「座るスクワット」です。
座るスクワットは、筋肉に負荷がかかった状態で10秒間キープし、その後、椅子に座って急速に緊張を緩めます。
力が抜けた瞬間に、NOが出て血管が広がった感覚をイメージしてください。
まず、なるべく低い椅子を用意します。
できれば、膝よりも座面が低い椅子がベストです。
椅子の前に立ち、背筋を伸ばして腕を胸の前にまっすぐに出します。
そして、なるべくゆっくりと腰を下げていきます。
呼吸を止めないことと、膝がつま先より前に出ないことがポイントです。
座面に太ももが触れそうになったら、そこでストップ!
10秒間、キープしてください。
このときに、もっとも筋肉に負荷がかかります。
そして、ふっと力を抜いて、椅子に腰かけてください。
脱力することで、血管の中にじわ~っとNOが発生します。
数秒、休んだら、今度は逆の動作で立ち上がります。
以上をワンセットとして、5セット行なうと、効果が期待できます。
最初のうちは、1回でも苦しいかもしれません。
頑張って続けるうちに筋肉も丈夫になります。
年をとって、立ち上がることや歩くことができなくなると、フレイル(虚弱)の原因になります。
フレイルで要介護になる人も多いのです。
座るスクワットを習慣にして、血管を健康にしてフレイルも防ぎましょう。
※ふくらはぎを鍛える「かかと上げ下ろし」
吊り革につかまったら、かかとの上げ下ろしをしてみよう。
ふくらはぎの筋肉が強いポンピング運動をして血管を収縮させ、血液を上へ上へと送っています。
ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれるのは、そのためです。
ウォーキングなどの運動がいいのは、ふくらはぎの筋肉トレーニングになっているからです。
ふくらはぎの筋トレで有効なのが、かかとを上げる運動です。
この運動を行う絶好のチャンスが電車の中です。
吊り革につかまったら、反射的にかかとの上げ下げをするくらいの習慣にするといいでしょう。
「血管が強くなる習慣 より」
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「老化」と聞いたとき、どんな変化を思い浮かべますか?
顔のシミやシワ、老眼、体力の衰え……。
それらももちろん老化の1つですが、根本的な老化とは「血管が衰えること」です。
わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。
動脈硬化とは、血管が「硬くなること」「狭くなること」「血栓で詰まりやすくなること」。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
近年、動脈硬化の原因として新しく注目されているものに、ホモシステインというものがあります。
虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。
そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。
このホモシステインが動脈の壁に沈着すると、酸化される過程で血栓を引き起こし、血管を傷害して動脈硬化を引き起こすのです。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?