第2章 食事を楽しみ、料理をつくることも楽しむ
第2章 食事を楽しみ、料理をつくることも楽しむ
新型コロナ感染拡大の局面では、飲食にともなう感染リスクが指摘されたため、1人で食べる「孤食」や黙って食べる「黙食」が推奨されました。
孤食も黙食も、新型コロナ対策には有効かもしれませんが、コミュニケーションが少なくなってしまい、ずっと続けると認知症の予備軍を増やすのではないかと心配でした。
食事中は、親しい人と「この野菜は新鮮で美味しいね」とか「肉の焼き加減が絶妙、さすがプロだね」といった会話をしながら食べるほうが、やはり美味しく感じます。
それだけ、脳が活発に働いている証拠でもあります。
コロナ下では、感染リスクを下げるために外食の機会が減ったかわりに、料理のテイクアウトや宅配を頼む人が増えました。
もっとも、認知症を予防する観点からすると、料理のテイクアウトや宅配よりも、自炊の機会を増やしたほうが効果的です。
何をどうつくるかを決め、必要な食材を買いそろえ、ときには料理本や料理動画なども参照しながら手順通りにつくって、美味しく仕上げる。
料理ができるのは、動物界広しといえどもヒトだけであり、料理は高度な知的作業ともいえます。
料理をするたびに頭を使い、脳が刺激されて血流量が増えるので、認知症予防にもうってつけです。
認知症になると、調理の手順を忘れたり、趣味ができなくなったりする「実行機能障害」が起こります。
裏を返すと、それは調理が高度な認知機能を伴う証拠ともなります。
子どもが久しぶりに実家に帰省したところ、料理の手際や味つけがいつもと違うことに気づき、そこから母親の認知症が明らかになったという話も珍しくありません。
自炊は必然的に、スーパーなどでの食材の買い出しから調理、テーブルセッティング、後片づけなどを含んでいます。
その一連の作業は、ストレッチやヨガに匹敵する運動量なのです。
足腰も活躍しますから、ミルキング・アクションで脳の血流も促進されるでしょう。
つくった料理を「これは美味しいね」とか「つくってくれてありがとう」と褒めてもらったり、感謝してもらったりしたら、つくり手の脳はさらに活性化されるでしょう。
休日など時間があるときには、自炊の機会を極力増やしましょう。
調理を楽しみ、配偶者やパートナー、あるいは親しい友人たちと語らいながら、料理を美味しく味わえたら最高ですね。
料理で脳を活性化しよう
・献立を考える
・食材を買う
・調理・調味を考える
・段どりを考える
・手をつかう
※ポイント 料理にまつわる一連の作業で身体と脳を活性化しましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?