第5章 深呼吸する
血圧も血流も、私たちはいちいち意識してコントロールしていません。
生きるために必要不可欠な機能は、たとえ寝ている間でも、無意識のうちにコントロールされています。
それを担っているのが、「自律神経」です。
これまで何度か触れましたが、血圧に関していうなら、血圧を上げるのが「交感神経」、下げるのが「副交感神経」です。
交感神経は血管を縮めて血圧を上げ、副交感神経は血管を緩めて血圧を下げます。
このように交感神経と副交感神経は、正反対の働きをしており、必要に応じて切り替わります。
血圧が高い人は、総じて交感神経が優位になりがちで、副交感神経が優位になるべき場面でも、交感神経のほうが優位なままなのです。
入ったままの交感神経のスイッチを切り、副交感神経のスイッチを入れて血圧を下げるのに。即効性があるのは「深呼吸」です。
呼吸は、起きている間はもちろん、眠っている間も続いています。
安静時には、通常1分間に16~20回の呼吸をしているのです。
実は、呼吸をコントロールしているのも自律神経です。
交感神経が優位だと呼吸が早くなり、副交感神経が優位だと呼吸は遅くなります。
一方、呼吸は意識してコントロールすることもできます。
それが深呼吸です。
呼吸は、空気を肺に吸い込む「吸気」と、肺から空気を吐き出す「呼気」を交互に繰り返します。
このうち、息を吸うときは交感神経が優位となり、息を吐くときは副交感神経が優位になりやすいので、深呼吸して、吐く息をゆったり長く深く続けていると、副交感神経が少しずつ優位となり、血圧は下がりやすくなります。
吐く息さえゆったり長く深くすることを心がければ、深呼吸は我流でも構いません。
何か基準が欲しいなら、まずはゆっくりと息を口から吐き切ってから、4カウントで鼻から息を吸い込み、その2倍のスピード(8カウント)で口から息を吐き出すようにするといいでしょう。
鼻から息を吸うと、鼻という自前のフィルターで不要なモノを除去しつつ、加温・加湿した優しい空気を体内にとり込めます。
そして息を口から吐くと、口のすぼめ方次第で吐くスピードをゆったり長くコントロールしやすいのです。
姿勢も大切です。
座っている姿勢を長く続けると、猫背で前屈みになり、胸が閉じて深呼吸しにくくなります。
できるだけ背筋を伸ばして、胸を開くように意識しましょう。
慣れてきたら、口から息を吐くときに、肺をもうひと絞りする気持ちで、残った空気を底から全部吐き切りましょう。
ちょっとだけ苦しくなりますが、その刺激で脳内では「セロトニン」というホルモンが分泌されます。
このホルモンは、血圧を下げる副交感神経を優位にしてくれる働きがあります。
深呼吸は、1日に何度行ってもいいので、ちょっとした空き時間に、その都度試すと効果的です。
※ポイント 気づいたときにゆっくりと深呼吸して、副交感神経を優位にしましょう
「一生ボケない習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?