自律神経について
自律神経の概要や前提を理解しておくことは健康づくりやコンディション維持にも有効なので、ここでその説明をしておきます。
そもそも人間の体には「手・足・口」など自分で動かせる部分と、「血管、内臓」など自分では動かせない部分があります。
後者の「自分で動かせない部分」を司っているのが自律神経。
その名の通り「自律的」(自動的)に体の中で働いています。
その自律神経の中には「交感神経」と「副交感神経」のふたつがあります。
交感神経は車でいうとアクセルのようなもの。
体を活動的にする働きを担っていて、運動したり、緊張したりすると交感神経は高まります。
一方の副交感神経はブレーキの役割を担っていて、リラックスしているときに優位になります。
交感神経、副交感神経には日内運動があって、朝、体が「活動モード」に入っていくときは交感神経が優位となり、夜「休息モード」になると副交感神経が優位になります。
こうした日内運動を上手に利用するのも自律神経を整えるコツです。
たとえば、朝起きたら太陽光を浴びる。
太陽光を浴びることで身体は朝であることを認識して「活動モード」のスイッチを入れます。
そして、朝食をしっかり食べる。
こうしたことで交感神経がしっかり高まってきます。
一方、夜の「休息モード」では、交感神経が高まるような過度な運動、テレビやスマートフォン(スマホ)を夜遅くまでまるなどの行為を控えることが大切です。
ゆったりと入浴する、穏やかな気持ちで一日を振り返るなど「休息モード」を意識することで自律神経は自然に整っていきます。
■血流は「思考力」や「感情のコントロール」ともつながっている
日々のコンディションにおいて血流は非常に大切です。
もちろん、その血流も自律神経が担っています。
血流が悪ければ、体中に十分な栄養や酸素が運ばれなくなります。
すると膝や腰、首などが痛くなる原因にもなりますし、脳に栄養が運ばれなければ、集中して考えたり、感情をコントロールしたりすることが難しくなります。
じつは「血流」は思考力や集中力、感情のコントロールにも大きく関係しているのです。
交感神経が過剰に高まると、血管が収縮し、血流が悪くなります。
反対に、副交感神経が高まると、血管が弛緩し、体の隅々の毛細血管までしっかりと栄養や酸素が届くようになっていきます。
緊張しているとき、頭がぼーっとして集中できなくなったり、手の指先が冷たくなったりすることがあるでしょう。
これは緊張によって交感神経が跳ね上がっている結果、血管が収縮し、血流が悪くなっている証拠です。
そんなときは大きく、ゆっくりと深呼吸すると、交感神経が落ち着き、副交感神経が高まってくるので、血流がよくなり、体の状態が整ってきます。
こうした自律神経の働きを理解しておくと、日々のコンディショニングに大いに役立ちます。
■自律神経を整えると免疫力もアップする
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、近年は「免疫力」を意識する人が増えてきました。
じつは免疫力も自律神経と密接につながっています。
もう少し細かくいうと、免疫力を担う白血球と自律神経が深く関係しているのです。
白血球の中には「大きな異物」を退治する顆粒球と「小さな異物」を退治するリンパ球があります。
このふたつが体内に入ってきた「異物」と戦ってくれるのです。
これが免疫機能です。
交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えることは研究でもわかっています。
つまり、交感神経と副交感神経の双方が適切に働くことで体内に侵入してきたさまざまな異物を退治することができます。
それだけ免疫力が高くなるわけです。
■自律神経も歳をとる
どんな人も年齢を重ねてくると「だるい」「めまいがする」「肩がこる」などさまざまな不調を感じることが増えてきます。
こうした加齢による症状も自律神経が深く関係しています。
じつは30歳を過ぎた頃から自律神経の状態は徐々に悪くなってくるのです。
もちろん個人差はありますが、男性は60代あたりから、女性は40代あたりから、特に副交感神経の低下がみられるようになってきます。
しかし、年齢とともに衰えていく筋力をトレーニングによって補うことができるように、自律神経も日々の生活習慣や意識づけによっていい状態を維持することができます。
やはり基本は規則正しい生活。
運動、睡眠、食事に気をつけることが一番です。
自律神経を整えるために習慣についてたくさんご紹介していくので、ぜひ自分にできそうなところから実践してみてください。
「はじめる習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?