脳血管障害とアミロイド、粥状硬化

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脳血管障害とアミロイド、粥状硬化
 
脳血管障害とアルツハイマー病との関連については、連続13例のアルツハイマー病の剖検例について検討した結果、80%弱に血管障害の病巣を認めています。
 
興味深いのは、病巣は脳血管障害の出現しやすい部位で、記憶などを司る部位ではなかったことです。
いろいろな脳の部位の血管障害が、アルツハイマー病の発現に関与している可能性も考えられます。
 
最近、脳の細い動脈に「アミロイド」という物質が沈着し動脈を傷つける「アミロイドアンギオパチー」という現象が報告されております。
 
脳の「アミロイドアンギオパチー」は、加齢とともに増加し、60歳以上で約50%90歳以上では約74%に認められ、とくにアルツハイマー病では7098%に達するとされています。
「アミロイド」はアルツハイマー病の病理学的診断の決め手の一つとなる「老人斑」に存在するだけではなく、脳の血管にも沈着することがわかってきました。
 
また、オランダのロッテルダム研究では、アルツハイマー病と粥状硬化(粥のような物質が動脈の内壁に付着する動脈硬化の一種)
との関連が研究されています。
 
対象は55歳以上のアルツハイマー207例、認知症のない1689例で、動脈壁に付着しているプラーク()の厚さから粥状硬化の状態を調べています。
 
結果、粥状硬化のすべての指標が認知症と関係していることがわかりました。
粥状硬化がある場合、認知症1.31.9倍多く、そのうちアルツハイマー病は1.31.8倍、脳血管性認知症1.93.2倍多くなるという結果でした。
 
また、粥状硬化にしたがって、アルツハイマー病・脳血管性認知症ともにその発生頻度が増加します。
特に強い粥状硬化のある場合は、アルツハイマー病が1.58.0倍多いという結果になっております。
 
この調査結果から、アルツハイマー病・脳血管性認知症が粥状硬化と関連することは明らかです。
 
なお、アルツハイマー病と脳梗塞との関連についても、海外の報告があります。
 
アメリカの剖検でアルツハイマー病と診断された61例中、脳梗塞のあった例では脳梗塞のなかった例よりも認知機能低下が明らかであり、かつ認知症の出現もより多かったという調査があります。
 
とくに通常、脳梗塞脳出血の出現しやすい脳の中心部に小梗塞がある例では認知症の出現が多く認められています。
「ボケる人、ボケない人の生活習慣 より」
 
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≪ビタミンB12の老化防止効果≫
 
食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
このために胃を切除した人では、ビタミンB12が欠乏して貧血をおこすことがあります。
 
また、現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。

ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、大量かつ配合によって効果的に働きます。
また、ビタミンB群はバランス良く摂ることで相乗効果を発揮します。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
生活習慣を変えるとともに栄養面の改善も非常に大切です。
 
ビタミンB12について