
「粗食信仰」が老化を促進する
私たちのまわりには、さまざまな健康情報があふれています。
もちろん、役に立つ情報もおおくありますが、科学的な裏づけのないものが少なくありません。
役に立つ情報であっても、その人の年齢や体調によっては、逆効果になってしまうことさえあります。
健康情報をうのみにして実践していると、かえって健康を害してしまうこともあるのです。
そんな例の一つが「粗食信仰」です。
テレビや雑誌の健康情報によれば、日々の食事を伝統的な日本の質素な献立、つまり「粗食」にすることで私たちは健康になるといいます。
それを信じて、「食事は一汁一菜」「もっぱら玄米を食べている」「肉は食べずに魚をとっている」という人は多いのではないでしょうか。
確かに、玄米や魚には人間に必要なビタミンやミネラルが多く含まれています。
ですから、そうした食品自体が健康にプラスになることは否定しません。
しかし、粗食に対する評価の度が過ぎて、「粗食信仰」になってしまうと問題です。
健康にいいどころか、老化を促進して寿命を短くしてしまう恐れさえあるのです。
粗食といって思い浮かべるイメージは、品数が少なくて全体にカロリーが少ない食事でしょう。
ご飯、味噌汁に加えて、魚と豆腐と漬物といったところでしょうか。
こうした粗食の問題点は、タンパク質と油が不足することです。
品数が少ないのですから、ミネラルやビタミン類も十分に補えません。
何よりもカロリーが決定的に不足します。
どうも、最近は食事のカロリーが目の敵にされているようですが、カロリーは生命活動のエネルギー源になるもの。
一定量は絶対に必要なのです。
「でも、昔の日本食は低カロリーだから健康によかったのでは?」
そう反論する人もいるでしょうが、そんなことはありません。
昔の日本人はご飯をたくさん食べていました。
毎食少なくとも茶碗に2、3杯は食べていましたから、1日に6杯から7杯ぐらい食べていた計算になります。
食べものにバラエティの少なかった当時は、ほかにエネルギー源がないものですから、ご飯でエネルギーを得ていました。
食事に肉や油が少なかった昔の人は、生活の知恵としてご飯でカロリーをとっていたわけです。
不足しがちなミネラルやビタミンも、食事の量で補いました。
味噌汁を日に4、5杯も飲んだり、野菜や漬物をたくさん食べたりすることでカバーしたのです。
ところが、現代人は昔の日本食の表面的なところだけを真似てしまっています。
食卓にのぼる品数を減らしていながら、食べる量は昔の人の半分以下です。
これでは、カロリーや栄養素が不足するのは明らかです。
特に問題なのは高齢者です。
ただでさえ食が細くなって食べる量が減っているうえに、毎回の食事が粗食になってしまったら、カロリーや栄養素はひどく不足してしまいます。
それによって、いきいきと活動するためのエネルギーが不足したり、免疫力が低下したりするのは目に見えています。
確かに、カロリーのとりすぎでメタボ(メタボリック症候群)になった人にとっては、粗食は必要かもしれません。
でも、そうでない人、とくに高齢者にとって粗食を実践するのは、かえって逆効果になってしまうのです。
高齢者にとって、粗食はそのまま低栄養状態につながります。
低栄養が老化を促進して寿命を縮めることは、東京都健康長寿医療センター研究所(旧・東京都老人総合研究所)による長年の調査によって明らかになりました。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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