日和見菌を味方につける方法

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日和見菌を味方につける方法
 
最近では、マウスの実験にとどまらず、患者さんのお腹の腸内細菌を入れ替えることで病気を治す「便移植」も試みられるようになりました。
 
便を腸内に移植するなんて、とビックリする人がいるかもしれませんが、欧米では一つの治療法としてすでに導入され、オランダの研究グループの発表によると、下痢などを起こす感染症の患者の、実に9割に改善効果が見られたといいます。
 
日本でも、2014年に臨床研究の一環として潰瘍性大腸炎の患者さんに実施され、その効果が検証されているところです。
 
こうした便移植については、まだまだ未知数なところが多いですが、腸内細菌と健康の関わりについては、異論を挟む余地はないでしょう。
 
そもそも私たちの腸には約100兆個にもおよぶ様々な種類の細菌が棲んでいて、その重さは1.0~1.5キログラムにもなるといわれています。
この菌たちを大きく分けると、私たちの体に有益な働きをする善玉菌と、悪い影響を及ぼす悪玉菌、そのときどきで優位なほうに味方する日和見菌の三つになります。
 
このうち、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が善玉菌の代表。
ただ、腸内が善玉菌ばかりになれば健康が保証されるわけではなく、ここでも大事なのはバランスです。
全体の7割におよぶ大多数派の日和見菌が、2割の善玉菌、1割の悪玉菌のどちらの味方につくかで、腸の健康状態が左右されるのです。
 
日和見菌が善玉菌と悪玉菌のどちらの味方につくか、その決定的な要因はハッキリわかっていませんが、自律神経の働きが深く関わっていると考えます。
 
なぜなら、腸内細菌の分布を示す「腸内フローラ」は、まず宿主である私たちが被るストレスに大きな影響を受けているからです。
 
つまり、交感神経が優位な状態のときに悪玉菌が増え、日和見菌が加担することが多いのです。
 
逆にいえば、副交感神経の働きが高まると腸の蠕動が盛んになりますが、そうしたときに活躍するのが善玉菌です。
どっちつかずだった日和見菌をなびかせて、腸内環境を私たちが心地よいと感じる方向に導いてくれます。
 
もちろん、腸内細菌に影響を与えているのは、ストレスばかりではありません。
 
時間帯や食事の内容などにも影響を受けるため、たとえば病院に勤務する看護師の腸内フローラを調べると、平常時の勤務よりも、ストレスが多く食事が不規則になる夜勤時のほうが、悪玉菌が優勢になります。
 
過敏性腸症候群になると、悪玉菌の割合がさらに増え、味方になびいた日和見菌とともに腸内環境を荒らし回るようになります。
その結果、腸はどんどんむくんでいき、ひどい腹痛、便秘、下痢に見舞われることになるのです。
 
免疫学の一人者である順天堂大学医学部の奥村康名誉教授は、「副交感神経の働きが低下するとリンパ球の機能も落ちるため、免疫力が低下し、風邪をひきやすく、ガンにもなりやすくなるなど、病気のリスクが増大する」と述べられておられます。
 
腸内環境を整え、副交感神経の働きを高めることは、脳機能の回復のみならず、病気のリスクそのものの低減につながるのです。
「人生を決めるのは脳が1割、腸が9割! より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
 
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
 
それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
 
一般にビタミンB群は協力して働いているため、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
また、現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に役立つ栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。 
 
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