体内時計と生活時間のズレに対処する

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体内時計と生活時間のズレに対処する
 
私たちの身体には、新しい環境に合わせて生理機能を調節し直す能力があります。
たとえば、低地住民が一時的に高地に移動すると、血中のヘモグロビンが増加します。
これを利用したのが、マラソン選手が行う「高地トレーニング」です。
高地、すなわち低酸素環境では、血中にあって酸素を運搬するヘモグロビンと、筋肉の中に酸素を運ぶミオグロビンが増加することを利用して、低地に戻ったときの持久力アップを図るのです。
 
このような、進化を伴わない適応を「順化」とも呼び、暑い環境に適応することを「暑熱順化」、寒い環境に適応することを「寒冷順化」、高い場所に適応することを「高所順化」といいます。
 
環境の変化は、体内時計にも影響を及ぼします。
私たちの身体には、ほぼ24時間の「サーカディアンリズム(概日リズム)」すなわち体内時計が備わっていて、「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子が司っています。
 
長い間、人類は自然のサイクルにしたがって生活してきたために、サーカディアンリズムが遺伝子に刻み込まれたのでしょう。
ところが、文明が発達し社会が複雑になるにしたがって、まだ眠っているべき時刻なのに起きなければならないとか、眠らなければいけない時刻なのに起きている、といったことが起こってきます。
体内時計と生活とにズレが生じたのです。
 
ただし、私たちには環境への適応能力がありますから、ある程度のズレには身体が慣れていきます。
けれどもズレが適応能力を超えて大きくなると、睡眠障害生活習慣病などを発症することがあります。
 
たとえば心臓病や脳卒中は、サーカディアンリズムの崩れからも生じます。
サーカディアンリズムが崩れると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。
眠っている間は副交感神経が優位に働き、目覚めると交感神経優位に切り替わる、というリズムが保てなくなるのです。
 
その結果起こるのが睡眠障害と早朝高血圧です。
本来ならば早朝は、まだ眠っているべき時刻であり、副交感神経優位で血圧が低いはずなのです。
ところが、早朝であるにもかかわらず、交感神経が興奮していて血圧が高くなってしまいます。
交感神経が興奮した状態とは、眠りが浅く、血糖値も高い状態です。
よく眠れないために心身のダメージが回復できないだけでなく、高血圧と高血糖がずっと続けば血管の障害となり、最終的には心筋梗塞狭心症脳梗塞脳出血などの発症へとつながります。
 
また、サーカディアンリズムは加齢とともに衰えていきます。
 
高齢になるとなかなか寝つけない、朝早く目が覚めるといった睡眠障害が起こりやすいのも、一つにはサーカディアンリズムの衰えが関わっていると考えられるのです。
ところが、高齢になってもサーカディアンリズムがしっかり働いている人たちがいるとわかったのです。
それがチベットの高地に住む人たちで、この人たちを調査したところ、70歳を超す年齢になっても、サーカディアンリズムを壊さないで、強固に保ちながら生活することが、過酷な環境のなかで生きるためには重要だったということなのです。
 
言い換えれば、過酷な環境に適応して生きていくには、きちんとしたサーカディアンリズムがないとダメだということです。
きちんとしたサーカディアンリズムがあれば、それに伴って自律神経の切り替えもきちんとできて、体温調節などもきちんとできる。
循環器系や内分泌系もきちんと働く、代謝もきちんとできる、ということです。
 
過酷な環境は、チベットだけではありません。
大型の台風やゲリラ豪雨など、日本でも環境は過酷になりつつあります。
それを思えば、自律神経の切り替えがきちんとできるような生活習慣を身につけ、サーカディアンリズムを強固に保つことが、とても大事なのではないでしょうか。
「天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法 より」
 
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新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
 
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
 
ビタミンB12は、水溶性と脂溶性という特徴を併せ持つため体の隅々にまでいきわたりさまざまな働きをします。
細胞の生成にとって重要な核酸(DNA)・たんぱく質の合成や末梢神経(手足)、 中枢神経(頭)、認知機能に関わりがあるため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
細胞が入れ替わることにより若さにもつながると考えられます。
また、最近の研究で、ビタミンB12はバイオリズムにかわっていることがわかってきました。
不規則な生活が続くと、バイオリズムが乱れて、自分の意思で起きたり、眠ったりできなくなります。
大量にとると、バイオリズムの回復に役立つと考えられています。
 
ビタミンB12の働き
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