なぜ「キレる老人」が多いのか

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なぜ「キレる老人」が多いのか
 
人は歳をとると、好奇心の欠如などから、普段は使わない脳番地がどんどん増えていきます。
すると突然、脳の機能が衰えていき、それと同時に物事に対する理解力が低下し、感情的にはイライラしやすくなる傾向にあります。
 
また、老化によって脳内の感情をコントロールする部分が縮み、怒りの感情を抑制することも難しくなります。
つまり、物事や言葉を理解するのに関係する理解系脳番地と、感性や社会性に関係する感情系脳番地の働きが劣化していく……これが「キレる老人」や「偏屈な老人」が生まれる原因です。
 
昨今、店で店員にキレる老人が増えています。
ラケー」からスマホに交換しようと店を訪れる高齢者が、店員に対して「ちっとも分からないよ!もっと分かりやすく説明しろ!」などと切れている場面を見たことがありますが、これなどは、まさに理解系と感情系脳番地が劣化したときの象徴的な行動です。
 
今後心配なのは、IT機器の普及によってキレる老人の増加です。
スマホやパソコンで何でもできる時代になると、何かを記憶する機会が激減します。
すると、脳内の記憶系脳番地の働きが弱くなり、物覚えが悪くなる。
そうして理解力の低下と同様、記憶力の低下も大きなストレスとなり、やはりイライラすることになります。
 
では、自分がキレる老人や偏屈な老人にならないためには、どうすればいいのでしょうか。
答えは簡単。
普段から脳を鍛えておけば良いのです。
いつもは使っていない脳番地に刺激を与えてやれば、歳をとってもキレにくくなります。
 
そして、なるべく万遍なく脳を働かせることが大切であり、そのときもっとも大切になるのは運動です。
 
たとえば玄関を掃除する際に、玄関だけでなく、家の周囲まで掃除する範囲を広げてみてください。
すると運動量が増えると同時に、ひょっとしたら近所の人と会話することになるかもしれません。
そして、それが脳に刺激を与えるのです。
 
あるいは散歩を日課にするのもいいでしょう。
毎日7000歩ほど歩くのが理想。
家に閉じこもることはなるべく避けて、外で活動する時間を増やしましょう。
 
女性ならネイルをしてみたり、新しい服を着ておしゃれを楽しむ、あるいは夕食で新しいメニュー挑戦するのもいいでしょう。
とにかく日常生活でワクワク感を持つことが脳の活性化にとっては有効です。
こうした小さなことの積み重ねによって、キレることはなくなるはずです。
 
※脳内では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して、基地をつくっています。
この基地を、「脳番地」と名づけました。
 この脳番地は約120ヵ所ありますが、そのなかで代表的な脳番地は、以下の八つです。
1.思考系:思考や意欲、創造力などを司り、人が何かを考えるときに深く関係する。左脳と右脳それぞれの前頭葉に位置する。
2.伝達系:コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。言葉を使う言語系と、図形や映像などで伝える非言語系に分かれる。
3.運動系:体を動かすこと全般に関係する。脳の中で最も早く成長を始める。
4.感情系:喜怒哀楽などを感じ、表現することに関与。生涯にわたって成長を続け、老化が遅いという特徴がある。脳の複数の部位に位置している。運動系の背後に接している部位は感覚系脳番地を通じて活性化される。
5.理解系:目や耳を通じてえた情報を理解する際に使う。情報をそのまま理解するだけでなく、推測して理解するときにも使われる。
6.聴覚系:耳で聞いた言葉や音を脳に集積させるために働く。
7.視覚系:目で見た映像や画像、読んだ文章を脳に集積させる働きがある。
8.記憶系:ものを覚えたり、思い出したりするときに使う。記憶を司る海馬の周囲に位置する。
 以上のように、それぞれ役割を分担して働いています。
 頻繁に使う脳番地は一生を通じて生き生きと成長します。
しかし、普段あまり使わない脳番地は未熟なまま……その未熟な部分を放置しておくと、加齢とともに少しずつ衰えていきます。
それぞれの脳番地をバランスよく使う必要があります。
50歳を超えても脳が若返る生き方 より」
 
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
 
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
 
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
 
レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
 
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
 
ビタミンB12について?
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