肉だけでは筋肉は強くならない!

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肉だけでは筋肉は強くならない!

 

「筋肉低下によるフレイルを改善するには、どんな栄養素を摂取すべきでしょうか?」

 

こんな質問を街角でぶつけようものなら、すぐさま、「筋肉を強くすればいいんだから蛋白質じゃない?」

という答えが返ってきそうです。

このあたりが長寿王国日本の面目躍如(めんもくやくじょ)たるところでしょう。

健康情報が国民に広く行き渡り、たいていの人が健康に関する基本的な知識を身につけています。

このことが、平均寿命を押し上げる一因になっています。

 

さて、正解はというと、蛋白質が重要なことは確かでも、実は隠れた主役がいます。

2006年、イタリアで、どんな栄養素の不足がフレイルを招くか調べる研究が行われました。

これによると、第1位がビタミンDで、不足するとフレイルの危険が2.35倍高くなります。

第2位がビタミンCで2.15倍、第3位がビタミンEで2.06倍、蛋白質は第4位でした。

 

まず蛋白質の説明をしておくと、蛋白質アミノ酸がたくさんつながった鎖のような構造をしています。

アミノ酸にはいくつもの種類があり、その一部は体内で作ることができず、食べものから摂取しなければなりません。

こういう重要なアミノ酸がバランスよく含まれた蛋白質を「質のよい蛋白質」と呼んでいます。

筋力を維持して、できればもっと強くするには、質のよい蛋白質を体にしっかり取り入れる必要があるのです。

 

厚生労働省は、栄養に関する最新の指針である「日本人の食事摂取基準2015」で、健康な成人男性は蛋白質を一日に60グラム、成人女性は50グラム摂取するようにすすめており、筋力低下を予防するには75グラム摂るとよいとしています。

質のよい蛋白質を含む食品の代表が肉や卵、牛乳、そしてかつおあじ、いわしなどの魚で、大豆も優秀です。

 

といっても一日に50~60グラムでよいのですから、少し気をつければ大きく不足することはないでしょう。

食べられる部分100グラムあたりでいうと、たとえば豚もも肉には蛋白質が22.1グラム、秋かつおには25.0グラム、和牛ヒレ肉には19.1グラム入っています。

これに対して牛乳には3.3グラムしか含まれておらず、木綿豆腐なら、その2倍にあたる6.6グラム摂取できます。

 

さて、厚生労働省は、筋力低下の予防には蛋白質を通常より多く摂取するのが望ましいと述べています。

アメリカでも同じような指導が行われてきました。

蛋白質は筋肉の材料になるのだから、たくさん摂るに越したことはないだろうというのです。

 

ところが実際には、こうすることで高齢者の筋力がさらに強くなるとか、もっと健康になれることをはっきり示すデータはほとんど存在しません。

 

「根拠があいまいなまま、高齢者に蛋白質を大量に摂取させてもよいものだろうか」。

この疑問をもとに、近年、アメリカの研究チームが厳密な調査を行いました。

対象となったのは、筋力が低下して体の機能に不自由を感じている高齢男性です。

男性を2つのグループに分けて、一方には蛋白質を必要量だけ摂取してもらい、もう一方には必要量より多く摂取するよう指示しました。

そのうえで筋肉と体の状態を6ヵ月後に比較したのです。

 

 この結果をまとめた論文が2018年に公表され、それによると、筋力、筋肉の量、体の機能のいずれも、2つのグループで差がないことが判明しました。

蛋白質は必要量だけ摂取すれば十分で、余分に摂っても意味がないと考えられます。

 

★食品100gに含まれる蛋白質の量

筋力を強くするには、成人男性は蛋白質を一日に60g、成人女性は50g摂取する必要があります。

ただし、一緒に脂肪を摂りすぎないように注意してください。

 

(食品100gあたり)

豚ロース肉(脂身付き)……蛋白質(g):19.3 脂肪(g):19.2

豚もも肉……蛋白質(g):22.1 脂肪(g):3.6

ヒレ……蛋白質(g):19.1 脂肪(g):15.0

鶏むね肉(皮付き) ……蛋白質(g):19.5 脂肪(g):17.2

かつお……蛋白質(g):25.8 脂肪(g):0.5

かつお……蛋白質(g):25.0 脂肪(g):6.2

くろまぐろ赤身……蛋白質(g):26.4 脂肪(g):1.4

……蛋白質(g):12.3 脂肪(g):10.3

普通牛乳……蛋白質(g):3.3 脂肪(g):3.8

糸引き納豆……蛋白質(g):16.5 脂肪(g):10.0

木綿豆腐……蛋白質(g):6.6 脂肪(g):4.2

「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が「卵黄」です。

 

また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。

この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。

ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

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