慢性疲労が「うつ」をもたらす
スマホやパソコンなどのデジタル機器が、仕事でもプライベートでも不可欠なアイテムになり、生活を大きく変容させていきました。
少し極端ですが、「デジタル依存生活」をしている人がけっこういるはずです。
そして、よく眠れなくなる。
すると、さらにインターネットやゲームをやってしまい、朝は寝不足で頭がすっきりしない、体調がすぐれない……。
それが「心の疲労」につながっていきます。
そして脳全体がしだいに機能不全に陥ると、それがパニック症状や強迫症状、そしてうつ症状を引き起こすのです。
この悪循環は、他人や外部からの影響ではなく、本人が夢中でデジタル三昧生活を送っているうちに、すなわち「知らないうちに」陥ってしまうところに問題があります。
デジタル依存生活には大きな健康リスクが潜んでいます。
切れる刃物ほどケガを負いやすいように、すぐれたデジタル機器には私たち人間の“脳を壊す”ほどの危険が潜んでいるのです。
そして、このデジタル依存生活こそ、「慢性疲労」の最大の原因なのです。
ただし、そのことに気づけば、しかるべき対策を取ることが可能になり、避けることができます。
私たち現代人は、デジタル機器との上手な付き合い方を早急にマスターしなければならない時期にきているのです。
厚生労働省の統計データによると、うつ病の発生頻度は、デジタル社会の進行とともに、うなぎのぼりで増加しています。
2000年以前には20万人程度のうつ病患者数であったのが、ほんの20年で100万人にまで急増してしまったのです。
遺伝的な背景を持つ「躁鬱病」まったく増えていません。
うつ病だけがこの20年間で急激に増えたことになります。
また、うつ病は自殺の大きな原因にもなりますが、自殺者の数も2000年以降に急増しています。
うつ病患者の急増は、それだけ、デジタル機器がすぐれもので魅力的だからです。
だから誰でも簡単に、すぐにハマってしまい、朝から晩まで使い続ける「依存症」状態になってしまうのです。
日本だけでなく、世界保健機関(WHO)の予測では、「うつ病は2030年にはもっとも頻度の高い病気になっているだろう」とされています。
50年前に自動車が急速に普及したとき、都市部の大気汚染が社会問題になりました。
そして、この現代のデジタル社会では、「頭の疲れ」と「心の疲れ」、それにともなううつ患者の増加や、それによる自殺者の増加が大きな社会問題になりつつあるといえるでしょう。
「医者が教える疲れない人の脳 より」
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私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
脳を酷使するときにも、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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