■食生活が豊かになり、血管は弱くなった
アメリカ人が占領軍として終戦直後の日本へ来たとき、日本人はみんな小さいのに筋骨隆々としているので、驚いたそうです。
戦時の粗食の中でも身体を鍛えていたせいはあるでしょうが、脂肪分が少ない和食本来の特性も理由だったろうと思います。
その後、食生活が豊かになって栄養が欧米化した結果、生活習慣病が増えました。
日本人の血管は弱くなり、いまでは脳にもダメージを及ぼしているのです。
■食事はバランスが肝心
「青魚をたくさん食べている人は認知症になりにくい」という統計的データは、「青魚を食べていれば認知症にならない」ことを意味しないのです。
オリーブオイルが身体にいいと言っても大量に摂取すべきではないし、ポリフェノールを含むワインにしても、飲み過ぎればアルコールの害を被ってしまいます。
脂っこい物ばかり食べていると脂質異常症になるし、塩辛い物ばかり食べていると高血圧になるし、甘い物ばかり食べていると糖尿病になります。
その因果関係は単純ですが、逆説的に身体や脳にいいとされる物だけ食べても、栄養の偏りをもたらすだけです。
人間の身体は不思議です。
コレステロール値が高いのはよくないですが、コレステロール自体は脳の神経細胞の組成に欠かせない物質です。
伝達にかかわる軸索という部分は、脂質でできているからです。
必要な物質ではあるのですが、過度になると血管に溜まってしまうわけです。
同じように、元から体内にあったり体内で生産されたりするものは、多すぎたり少なすぎたりするとき問題になるのです。
結局バランスのいい食事、肉も食べ、野菜も食べ、魚も食べることか第一です。
炭水化物をカットするダイエット法がブームですが、古来からお米を食べてきた日本人の体質には、炭水化物が必要だとわかってきました。
生活習慣病の予防や悪化防止の観点からは、特定の物を過度に摂り過ぎたり、極端に制限したりしないように注意することです。
体質の改善は、まず食事が基本。
1日3回食べる食事の内容で、脂肪を減らしたり塩分を減らしたりして調整すべきです。
生活習慣病に関連する数値を見ながら、悪くなってくればさらに注意し、それでも悪化すれば医療機関を受診することです。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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