Q.糖質制限は意味がない?
Q.糖質制限は意味がない?
A.「代わりに何を食べるか」がポイント
糖質制限の本やネットの記事を多く見かけます。
世間的にはダイエット法としての地位を確立しているようですね。
実際に行っている医師も多くいますし、私もゆるい糖質制限を実践しています。
「体重を減らす」ということについては、一定の効果があると考えてよいかもしれません。
しかし、実は、糖質制限の健康への効果としては、医学界でも評価が分かれていました。
高く評価する医師もいれば、否定的な見方をしている医師もいます。
2018年、糖質制限による死亡率の変化について、ある発表がありました。
結論は、なんと糖質制限によって死亡リスクが上がるというものでした。
もちろん、糖質をとりすぎていても死亡率は上がります。
もっとも死亡リスクが少ないのは、糖質量が全カロリーの50~55%の場合でした。
これは、厚生労働省と農林水産省による「食事バランスガイド」(健康的な食生活のための、食品の組み合わせや量の目安を表わした資料)や日本の病院の栄養指導と矛盾しません。
この結果を見ると、「糖質制限は、全然ダメ」みたいに思われるかもしれません。
しかし、糖質制限そのものよりも、「糖質さえ制限すれば、他は何をどれくらい食べてもよい」というのが、完全に間違いだと考えています。
糖質を制限して、その代わりに何を食べるかによって、血流に関わる病気によるものも含めて、死亡率は変わります。
アメリカの医療関係者を対象とした研究では、糖質の代わりに動物由来のタンパク質と脂質をたくさんとった場合、全死亡リスク(すべての原因による死亡のリスク)と心血管疾患による死亡リスク、がんによる死亡リスクが上がりました。
特に加工肉がよくないようです。
一方で、糖質の代わりに植物由来のタンパク質と脂質をとった場合は、全死亡リスクと心血管疾患で死亡するリスクが下がりました。
また、動物由来の脂質の代わりに、魚に多く含まれる脂質や、オリーブオイルなどに多く含まれる脂質、玄米や全粒パン、ポップコーンなどの全粒穀物や植物性タンパク質をとると、冠動脈疾患のリスクが減りました。
つまり、魚や植物由来のタンパク質と脂質をとることで、血流力が高まります。
もちろん、動物性のものも、たまに食べるのなら問題ありません。
むしろ、極端に動物由来の脂質を食べないと、以前は日本人に多かった脳出血になるリスクが上がってしまいます。
ある研究では、動物性の脂質を多くとるほど脳出血を減らし、統計学的に有意ではないものの、動物性タンパク質も多いほど、脳出血が減る傾向が認められています。
糖質を制限するとともに、動物性と植物性のタンパク質をバランスよく食べることが大切なのです。
「『血流』をよくする 最高の習慣 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
各栄養素にはそれぞれ役割があり、互いに作用し合って初めて「栄養」として働きます。
多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用されるしくみがヒトの体には整っています。
たとえば、糖質がエネルギーに変わるにはビタミンB群などが必要で、ビタミンB群が活性化するには各種のアミノ酸やミネラルが必要、…というように、栄養素を利用するにはほかの栄養素の働きが不可欠です。
よく、ヒトは1人では生きられないといいますが、栄養素もひとつだけでは機能しません。
ビタミンB群とは、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、B群は、体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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