第7章 「いいストレス」と「悪いストレス」を分けて考えてみる
ストレスは体にも脳にもよくありません。
そんなことは知っているよと言うかもしれないですが、ストレスのマイナス効果は、あなたの想像以上かもしれません。
たとえば、ストレスが多いと脳で炎症が起こりやすくなります。
脳に損傷が起きることもあります。
よくストレスがたまると胃が痛くなるといいますが、胃だけではなく脳もダメージを受けています(もちろん体のほかの部位にも悪影響があります)。
ストレスがない状態をつくることは言ってみれば最強の健康法です。
歴代世界最高年齢(没年122歳)のジャンヌ・カルマンさんは、喫煙を100歳を超えてもして、自分の好きなように生きてきたので、その分ストレスがなかったようです。
ストレスがないとも睡眠の質も全く変わります。
睡眠の質は認知症にも直結するので、やはりストレスは大敵です。
ただ、すべてのストレスが悪者というわけではないのです。
ストレスには「悪いストレス」と「いいストレス」があります。
「悪いストレス」とは、不安や執着、怒りなどのマイナスの感情に支配されて起きるストレスです。
「いいストレス」は、新しいことに挑戦したり、運動で体に適度な負荷をかけることで起きるストレスです。
この2つをまとめてストレスと呼んでいるので混乱しそうですが、分けて考えることが大切です。
「いいストレス」は意識的に生活の中に取り入れていったほうがいいものです。
脳は軽いストレスを受けたほうが再生能力が上がります。
運動をするのでもいいですし、新しいことに挑戦するのでもいい。
これが認知機能を刺激しても脳を再生してくれます。
一日中ボーッとテレビを見ていると、ストレスはないかもしれませんが、脳は衰えます。
修復機能も働かなくなるので、ストレスが「0」の状態は、いいこととは言えないのです。
また、飲酒をする人に朗報です。
お酒も軽く飲むことは「いいストレス」を与えてくれます。
ですから無理をして禁酒する必要は、脳の観点だけで見ればありません。
もちろん飲み過ぎは「悪いストレス」になってしまうので、適量が大切です。
と言っても適量とはどのくらいかと思うかもしれないですよね。
「いいストレス」というのも、程度がわかりにくいかもしれません。
そんなときは次のようにして「いいストレス」かどうかを計ってください。
ストレスのセルフ判断法です。
・ストレス0とストレス10(マックス)を10段階に設定する
・いま感じているストレスがこの10段階のどこにあるかを決める。数値は自分の感覚で大丈夫です。すごいストレスならば「8」とか、この程度なら「3」とか。
「いいストレス」はこの判断で「1~2」にある状態です。
「3以上のストレス」になると「悪いストレス」に分類されます。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?